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スタッフブログ

2021.02.19

逸翁美術館 『花のある茶道具』

小林一三記念館 長屋門(登録有形文化財)

小林一三記念館 雅俗山荘(登録有形文化財)

花はそこにあるだけで心を浮き立たせてくれるものの、その存在感故に、ともすれば「わび」と「さび」が重んじられる茶道の世界観を壊してしまうおそれがあります。本展に展示されていた茶道具には、心を落ち着かせる空間の邪魔をせず、それでいて四季の移ろいを感じさせてくれる花々が表現されていました。
叶うものならばお持ち帰りしたいと思ったのは、尾形乾山『菊絵茶碗』と近藤道恵『桜蒔絵嵯峨棗写茶器』。チラシとポスターにも使われている作品です。『菊絵茶碗』は、その大きさといい、柔らかなラインといい、しっくりと手に馴染みそうなフォルムがたまりません。車のキャッチコピーにもありますが、これぞ正に「ちょうどいい」。素朴な花の図柄も、この作品の心地良い「馴染み感」を助長しているように感じられます。『桜蒔絵嵯峨棗写茶器』は、流麗なしだれ桜の線が茶器の形と見事に調和していて、華やかでありながらしっとりとした美しさが心に残りました。
97番『扇面白藤花図』と98番『藤花図』もまた興味深かったです。どちらも藤の花をモチーフにしており、『扇面白藤花図』は尾形光琳、『藤花図』は円山応挙の長子である円山応瑞の作品です。背中合わせに展示されているので、比較しながら97→98→97→98…と何往復もしてしまいました。
『花のある茶道具』の後は、逸翁美術館から徒歩数分のところにある小林一三記念館へ。こちらも見応えたっぷりで、予定時間をオーバーしながら、まだ足りないと未練を残しつつ次の予定に向かいました。別の展覧会のときに改めてじっくりと鑑賞したいと思います。
『花のある茶道具』は3/14(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(3人まで)。

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