スタッフブログ
コンサート
2025.01.17
1/11(土)21世紀の新世界
カサブランカの香りが漂っていました
寒波が到来し、緊迫感を覚えるような冷えた空気の日でした。今年の「21世紀の新世界」はピンと背筋の伸びるような「緊迫感」が心地よい演奏でした。チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”からスタート。2曲目は同じくチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。世界三大ピアノ協奏曲、世界四大ピアノ協奏曲など、名作について語られるときには必ず挙がるピアノ協奏曲の最高傑作です。松田華音さんのピアノは一見エレガントにさらっと弾きこなしているようで、その実、力強く真に迫る緊迫感に満ちていました。
後半は「21世紀の新世界」のテーマ、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。恒例の公演なので、瀬山さんと関西フィルのタッグも慣れたもの…ではありますが、入念なリハーサルで細部を調整して臨まれていました。ここにも慣れに安住しない緊迫感があり、身の引き締まる思いで2025年を迎えることができました。
2024.12.25
12/21(土)藤岡幸夫のクリスマス・ファンタジア
サンタさん、1年振りです。今年も素敵なお召し物ですね。
恒例の大人気コンサート。今年はバラエティに富んだ幕の内弁当のようなプログラムでした。まずはクリスマスらしくアンダーソンの「そりすべり」と「クリスマス・フェスティバル」から始まり、オルガン・片桐聖子さんの演奏で、ソプラノ・村岡瞳さんの「アヴェ・マリア」。藤岡さんも「度胸がある」と評されていましたが、パイプオルガンの横から堂々たる歌いっぷり。ドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」より“白銀の月”では、チェコ語で見事な歌を披露してくれましたが、兵庫県出身で奈良県在住、生粋の関西っ子の村岡さんは、お話しすると親しみやすい関西イントネーションでした。
後半は、J.シュトラウスⅡの喜歌劇「こうもり」より序曲からスタート。フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より前奏曲、ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」より“ワルツ”、レオンカヴァッロの歌劇「道化師」より間奏曲と、ストーリー性のあるラインアップ。クリスマスとは関係なくても、華やかで怪しげで、まるでオムニバス劇を観ているような楽しさがありました。ラストは鉄板で盛り上がるラヴェルの「ボレロ」。そしてアンコールはみんなで歌う「きよしこの夜」。きっちりと聖夜の厳かな雰囲気に終着しました。
2024.11.14
10/17(木)ザ・キングズ・シンガーズ コンサート
公演パンフレット・チケットなど
アンコール曲
1968年ケンブリッジ大学の卒業生によって結成され、英国が生んだアカペラの「王様」と言われる「ザ・キングズ・シンガーズ」。
今回はメンバーの一人が体調不良のため、来日が見合わせとなり、曲目が変更になりました。
しかし、初めから5人だったかのように全く違和感を感じない素晴らしいハーモニーでよく知られた曲を満喫し、さすがと感心しました。
メンバー交代で日本語での曲紹介にどんどんステージに引き込まれ、これぞサービスと心が躍り、それぞれの曲については、歌詞をじっくり聞くことから新たな魅力を発見できました。どの曲も素晴らしいのですが、特に「竹田の子守歌」「花は咲く」アンコールの「もののけ姫」という日本の歌と、彼らの声・ハーモニーのもつ哀愁がベストマッチで、心が洗われるような感動がこみ上げました。
声だけでこれほど非日常を楽しめることに驚き、幸福な時間を過ごすことができた贅沢なコンサートでした。
2024.10.29
10/20(日)及川浩治 オール・ショパン ピアノ・リサイタル
アンコールも含めて「オール・ショパン」でした
今年は、名曲と難曲がズラリと並んだオール・ショパンプログラム。「情熱のピアニスト」と称される及川さんですが、情熱だけではない様々な趣のショパンをみせてくれました。前半最後の”木枯らし”が特に印象的でした。及川さんのリサイタルで聴くのは初めてでしたが、表情豊かな演奏に圧倒されました。嬉しかったのはアンコール最後のノクターン”遺作”。個人的に及川さんの”遺作”が好きなので、内心で「キターッ」と快哉を叫ぶような気持ちでした。公演終了後は楽屋口でサイン会。ついさっきまで鍵盤の上を縦横無尽に動いていた手でペンを握りさらさらと。サインから音が流れるわけではありませんが、ショパンがリフレインしてきそうな特別感があります。及川さん、新幹線の時間が迫る中、ギリギリまでありがとうございました!
2024.09.30
9/23(月・祝)オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演
公演パンフレット・チケットなど
アンコール曲
毎年大好評のオーケストラ・アンサンブル金沢の大阪定期公演。今年は2019年《ロン・ティボー》優勝及び3つの特別賞に輝いた新たな才能・三浦謙司をソリストに迎え、OEKパーマネント・コンダクター川瀬賢太郎の2人を中心に若き熱量あふれる指揮で聴衆を魅了しました。
サン=サーンス「死の舞踏」で妖しくも美しい調べで始まり、三浦さんを迎え、ラヴェル「ピアノ協奏曲」。三浦ワールド全開、唯一無二の世界観に引き込まれました。ソリストアンコールでは、ショパン:24の前奏曲より第15番「雨だれ」で異なる細やかな表現に魅せられました。
通常は休憩時間となる前半終了後に、川瀬さん三浦さんをはじめ楽団員がバケツを持って能登半島地震と豪雨災害の募金に客席をまわられました。アンサンブル金沢スタッフは実家が被災されたなど能登や輪島出身の方も多く、元々創設音楽監督を務めた岩城さんが阪神大震災で被災された際に行われたバケツ募金を受け継がれたとのことです。
ひと息ついて後半は、ブラームス「交響曲第2番」。のびやかな楽想と牧歌的な雰囲気にあふれたこの曲は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」にちなんでブラームスの「田園交響曲」とも呼ばれる明るく輝かしい曲想に会場は大変な盛り上がりで、ブラボーの声が響きました。そして、公演の最終アンコールには川瀬さん明るい調と言われるニ長調の、ヤン・バン・デル・ロースト「カンタベリー・コラール」で締めくくられました。
避けようがない災害ではありますが、音楽を聴くことができる喜びと幸せに感謝し、できることで息の長い協力をとの思いを強くする公演でした。
2024.08.02
7/28(日)サマー・ポップス・コンサート
みなさま、猛暑の中ご来場いただきありがとうございました
サマー・ポップス・コンサートのプログラムは、元々はオーケストラ用でない曲が多いので、編曲も聴きどころの一つです。今年も、竹下清志さん、川上肇さん、三浦秀秋さん、三者三様のオシャレでスマートなアレンジが楽しめました。前半4曲目の「リベルタンゴ」は竹下清志さんの編曲。大人気曲なので、何度も演奏会で聴きましたが個性的なアレンジによって新たな魅力が加わり新鮮味がありました。前半6曲目は川上肇さん編曲の「オリーブの首飾り」。藤岡さんこだわりの速いテンポが心地よく恰好いい!後半ラストの「007メドレー」は三浦秀秋さん編曲。007シリーズを象徴するジェームス・ボンドのテーマから始まり、ロシアより愛をこめて、ゴールドフィンガーとムードのある曲に繋がり、またテーマに戻るという007のエッセンスが凝縮されたメドレーです。どの曲も待ってました!と言いたくなる名曲プログラム。銀幕のヒーロー、ヒロインたちに胸焦がれる、懐かしくもキュンとするコンサートでした。
2024.07.30
7/26(金)超絶のタイタニック
パイプオルガンの木枠に沿って走るプロジェクションマッピングがクールでした
パイプオルガンとプロジェクションマッピングの競演「超絶シリーズ」。大木麻理さんのオルガンに、加藤恭子さん、川瀬達也さんの打楽器、宮本“ブータン”知聡さんのドラムが加わって、スケールの大きな映画音楽が一層大迫力に!サンダーシートやサイレンなどバリエーション豊富な打楽器が効果的に活用され、奏者が4人とは思えないような多彩な音に包まれました。ザ・シンフォニーホールのスタッフさんの協力で、加藤さんが指を怪我しないようにサイレンに保護措置を施したり、より大きな音が出るように台を設置したりと、スタッフさんも含めて、みんなで一丸となって公演を作り上げていく様子が伝わりました。超絶シリーズ、楽しいです。おススメです!
2024.07.25
7/21(日)小林研一郎の「夏休み・名曲招待席」
マエストロと上野さんのトークも楽しかったです
丁度いいタイミングで、朝日新聞でコバケンさんの連載が掲載され、マエストロの多彩な音楽人生に想いを馳せながら演奏を堪能することができました。定番の交響詩『フィンランディア』に始まり、ブラームスのハンガリー舞曲。今年は超有名な第5番ではなく、第4番です。流浪の民ロマ族の哀愁漂う独特の旋律に引き込まれます。そしてブラームスの舞曲に影響を受けて作られたドヴォルザークのスラヴ舞曲第10番。中欧の奥深い森を連想させてくれる演奏は酷暑を束の間でも忘れさせてくれるようでした。
後半はドヴォルザークからバトンを受け、鉄道オタク繋がりの上野耕平さんが加わって、カルメン・ファンタジー。ソロ・アンコールはリムスキー=コルサコフ『熊蜂の飛行』。本当に熊蜂がクルクルブンブンと周囲を飛び回っているようで、思わず手で振り払ってしまいそうな臨場感がありました。すごいスピードで一体いつ息継ぎをしているのやら。マエストロも「あなたは天才」と言われていましたが、サクソフォンの概念を覆されるくらい厚みと奥行きのある音が素晴らしかったです。『ボレロ』では、ソプラノサックスで上野さんも加わり豪華な締めとなりました。
2024.07.16
小林研一郎さん連載「語る-人生の贈りもの-」
朝日新聞朝刊の文化面「語る-人生の贈りもの-」で指揮者の小林研一郎さんがこれまでの歩みについて語られています。独学で勉強し始めたピアノと作曲、恩師とのエピソード、学生時代の話、偶然と咄嗟の機転で乗り切ったブダペスト国際指揮者コンクール…どれも興味深いお話ばかり。偉大なマエストロでありながら、語り口は正直で優しく、等身大の親しみやすさがあり、コバケンさんのお人柄がにじみ出ています。次の週末はいよいよ小林研一郎の「夏休み・名曲招待席」。今年も炎のコバケンの健在ぶりを楽しみにしています!
2024.06.20
6/15(土)前橋汀子 ヴァイオリン名曲選
ホワイエではCD販売あり
CDジャケットの中にはマレーネ・ディートリッヒのような雰囲気あるお写真も!
エルガー『愛の挨拶』に始まり、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』で前半終了。前橋さんの衣装は朱色に近い濃いオレンジ色でパッと目を引くのですが、前半が終わる頃には、演奏に引き込まれ衣装の印象が薄くなってしまうかのような感覚がありました。最近のレジャー施設は「没入感」をテーマに作られるものが増えているそうですが、素晴らしいホールで素晴らしい演奏を聴くと、仕掛けなどなくとも没入できます。前橋さんとマルディロシアンさんの息がピッタリと合っていて、マルディロシアンさんのリラックスした雰囲気はサロン・コンサートのような親しみやすさがありました。
後半は前橋さんとマルディロシアンさんの名コンビネーションにパイプオルガンの大木麻理さんが加わり、弦1+鍵盤2という珍しいトリオプレイを楽しむことができました。パイプオルガンの安定感のある心地良い響きをバックに前橋さんの緩急自在な演奏が一層引き立ちます。プログラムの順番を入れ替えて本編の最後に持ってこられたのは、『My Favorite Songsメドレー』。前橋さんお気に入りのクラシック以外の曲がメドレーで演奏され、抒情的な音色に心揺さぶる名曲の力を実感しました。
アンコールは何と5曲!ドヴォルザーク『我が母の教えたまいし歌』、スラヴ舞曲第10番、ブラームスのハンガリー舞曲第1番、第5番、シューベルト『アヴェ・マリア』。後半の鮮やかなショッキングピンクの衣装の記憶がかすむくらい充実したアンコールでした。
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