スタッフブログ
美術館・博物館
2026.09.30
美術館「えき」KYOTO「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」
こんにちは。9月も最終日、ようやく秋晴れになりましたね。先日、美術館「えき」KYOTOで開催中の「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」へ行ってきました。
宇野亞喜良(1934〜)は、高校卒業後、カルピス食品工業に入社し商品広告を担当しました。コピーライターやデザイナーがまだ十分に認知されていない時代、キャッチフレーズも自身で考えていたそうです。60年代にはマックスファクターなどの企業広告で注目を浴びるようになり、70年代には寺山修司らと交流を深め、アングラ演劇のポスターを手がけるようになります。憂いを帯びた少女やエロティックなシーンを描く一方、子ども向けの絵本や舞台美術も手がけ、画材も鉛筆からアクリル絵の具まで、多彩な作風を展開しました。
会場では、その仕事量というか熱量に驚かされますが、田中一光、横尾忠則、和田誠など当時第一線で活躍していた人々とのコラボ作品も展示され、広告が元気だった時代の空気を感じることができました。
90歳を過ぎても現役(!)で活躍する宇野亞喜良。「いろんな世代の人に展覧会を楽しんでほしい」という願いどおり、学生からシニアまで多くの人々が宇野の作品に見入っていました。
展覧会は10月25日(日)まで。朝日友の会会員証提示で1人無料、同伴4人まで優待割引になります。
2026.09.08
8/29(土)『フェルメール 真珠の耳飾りの少女』夜間鑑賞会

出入口前で予習できます

「ディアナとニンフたち」
背中も可愛いワンコ

「真珠の耳飾りの少女」
特定の人物をモデルとせず技術や
表現に重きを置いたトローニー
8/29(土)に朝日友の会会員様と朝日新聞読者様向けの『フェルメール展 真珠の耳飾りの少女』夜間鑑賞会が開催されました。当日は夏休み最後の週末で、17時までの通常時間帯はかなりの混雑だったようですが、夜間鑑賞会ではゆったりと作品を鑑賞していただくことがきました。ご来場いただいたみなさまのマナーが良く、受付から入場までの動線移動もスムーズでした。ご協力に感謝いたします。
今回のフェルメール展は、全12作品と作品数は少なかったのですが、17世紀のオランダを凝縮したような作品が揃っており、当時の歴史的な背景を踏まえた章立てに沿って、じっくりと考えながら作品を鑑賞することができました。16世紀に宗教革命が起こり、オランダでは華美で絢爛豪華な教会建物を否定するプロテスタントが主流になりました。教会からの宗教画の依頼がなくなり、絵画の題材がどのようなものに移っていったのかということが、本展の12作品からよくわかります。デコピンのご先祖さまも4作品に登場していました。今は希少種のコーイケルホンディエですが、当時のオランダでは一般的な犬種だったようです。
2026.08.25
大阪中之島美術館 『フェルメール 真珠の耳飾りの少女』

真珠の耳飾りの少女風マダニャイ

真珠の耳飾りの少女風メービル

フェルメールブルーをイメージした
ライティング
8/21からとうとう始まりました、フェルメール展。8/20には関係者向けの内覧会が開催され、桂南光さんがラジオで内覧会のお話しをされていました。南光さんは、レンブラントの『笑う男』とエマヌエル・デ・ウィッテの『想像上のカトリック聖堂の内部』がお気に召したそうです。目玉作品の『真珠の耳飾りの少女』以外にも、オランダ黄金時代の珠玉の絵画を鑑賞する貴重な機会です。チケットを入手された方、夜間鑑賞会に当選された方は、どこから見ても美しい名品をたっぷりと堪能してくださいね。
中之島界隈はフェルメール展仕様で賑わっています。朝日新聞のマダニャイやダイビルのメービルも、ミッフィーやフリーレンに負けじと真珠の耳飾りの少女に扮していたり、地下通路がフェルメールブルーをイメージしたライティングになっていたりと、あちらこちらにフェルメールの香りが漂っています。中之島近辺にお立ち寄りの際は、フェルメール関連のフォトスポットもあわせてお楽しみください。
2026.08.20
神戸市立博物館「ゴールドマンコレクション 河鍋暁斎の世界」
こんにちは。相変わらずの暑さにぐったりしますね。先日、神戸市立博物館で開催中の「河鍋暁斎の世界」へ行ってきました。
幕末に活躍した絵師・暁斎を私が知ったのは、2008年に京都で開催された展覧会でのこと。その時もイスラエル・ゴールドマン氏のコレクションで、状態の良い肉質画や版画に感銘を受けたことを覚えています。近年は関西でも暁斎の作品に出会う機会が増え、過度な期待をせずに行ったのですが…結果、全体の約6割が日本初公開で、驚きに満ちていました!
暁斎はとにかく芸達者で面白い。即興で描く絵のモチーフは、表情豊かな猫や鳥、小動物や妖怪など。中でも笑ったのは、「猫又図」(ONとOFFバージョンあり)と「百鬼夜行」(物の怪の大行進。火の玉?に驚いて引き返す)。自身をモデルにした“鬼”もしばしば登場します。
ゴールドマン氏は元々美術商で、日本の浮世絵などを外国人のファンに売っていたそうです。そして「象と小熊」を売ったものの、夜も眠れなくなるほど後悔し、何年もかけて買い戻したとか。そこから大の暁斎推しになったとのことでした。愛するが故か、保存状態の良さに驚かされます。皆さんもぜひ足を運んでみてください!
展覧会は9月23日(水・祝)まで。朝日友の会会員証提示で5人まで団体料金割引になります。

神戸市立博物館の前で

百鬼夜行図屏風はインパクト大!
2026.07.24
奈良国立博物館 『特別展 南都仏画-よみがえる奈良天平の美-』
涅槃のやすらぎクッションとざんまいずのコラボ
鹿さん鹿さん、暑いですね~
ボストン美術館と20年もかけて構想が練られた『南都仏画』展。南都仏画の元祖ともいえる法隆寺金堂壁画の模写に始まり、隆盛を極めた天平文化の作品、平安遷都後に平安美術の様式と南都ならではの独自性が融合した作品、明治時代の廃仏毀釈によって廃寺になった内山永久寺旧蔵の名画など、全8章の構成です。
平安遷都は力を持ちすぎた仏教勢力を排除する意図もあったと考えられますが、それでも尚、平安時代以降も南都の仏教美術が脈々と受け継がれていったのは、仏教を布教する上で、教えを視覚化することが重視された現れなのだと思います。
さて、本展のお気に入りは、作品番号26番の両界曼荼羅(小島曼荼羅)と作品番号72の不動明王および八大童子像です。両界曼荼羅は濃紺の綾に金泥と銀泥で描かれた曼荼羅。経年によって銀色の部分がほとんど退色していましたが、そのことで却って金色の部分が立体感を増しているように感じられました。不動明王および八大童子像は、ポーズや表情が表現豊かで、それぞれに秘めたる逸話がありそうで想像力を掻き立てられました。
『特別展 南都仏画-よみがえる奈良天平の美-』は9/13(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で半額になります(一般1人)。
2026.06.03
2026年は「スウェーデン」イヤー!
こんにちは!梅雨入り間近の大阪・中之島ですが、皆さんお元気でお過ごしでしょうか。6月1日から「美術館めぐり」バスツアーの受付が始まりました。ツアー担当スタッフの今年の一押しです。
2026年は日本とスウェーデンの文化科学交流年で、各地で様々なイベントが開催されています。先日、西宮市大谷記念美術館で開催中の「スウェーデン・テキスタイル展」へ行ってきました。北欧に位置し、国土の大半が森に覆われたスウェーデン。人々は、長く厳しい冬を過ごすため、家の内装にこだわりました。壁紙やテーブルクロスに使うテキスタイルも、花や動植物、幾何学模様、童話や聖書などがモチーフになっています。会場には個人のコレクターが収集した約250点のテキスタイルが展示され、暮らしを楽しむための知恵や工夫を見ることができました。
そして、7月から愛知県美術館で開催される「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展へ、バスツアーで出かける予定です。1870年代後半、スウェーデンの若い芸術家たちがフランスで学び、後に故郷へ戻って身近な自然や人々を描くようになります。スウェーデンの美術黄金期の絵画を一挙紹介するのはとてもめずらしく、個人的にも期待大です(オリジナルグッズも!)美術愛好家の皆さんと一緒に、ぜひ楽しみたいと思います!
「スウェーデン・テキスタイル展」は6月28日(日)まで西宮市大谷記念美術館で開催。朝日友の会会員証提示で一般のみ1人団体料金割引になります。
「美術館めぐりバスツアー(スウェーデン絵画展)」は7月12日、15日に催行予定。メイト6月号でご紹介しています。ご参加をお待ちしています!
西宮市大谷記念美術館入口にて。看板の作品は「ノーアクス・アルク(ノアの方舟)」
鮮やかなテキスタイルが並ぶ展示室(西宮市大谷記念美術館)
2026.04.21
あべのハルカス美術館 『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』
Final Stageは幻想的な雰囲気
ネフチュス女神像と泣き女のレリーフ
赤アメンホテプ、青アメンホテプ、黄アメンホテプ。エジプト早口言葉を唱えながら行ってきました、古代エジプト展。
1st Stageは、「古代エジプト人の謎を解け!」。ここでは今まであまりスポットライトを当てられることのなかった市井の人々も含めた古代エジプト人の日常生活を垣間見る数々の作品が展示されていました。面白かったのは憧れの職業。当時は書記だったそうです。書記といっても単なる筆記係というよりも神官や広い意味での事務官を指していました。憧れの職業は、その時々の世相を色濃く映すものですが、この職業がいい、あれは駄目だと言えるのは、ある程度の職業選択の自由があったということで、その点からも興味深く感じられました。
2nd Stage「ファラオの実像を解明せよ!」では、ファラオとピラミッドの謎に迫る最新の研究成果についての展示がありました。物質を通り抜ける宇宙線ミューオンを解析することによって、非破壊で対象物の調査が可能になるというものです。ピラミッドの研究だけでなく、地質調査や水道管点検のようなインフラ点検への応用にも期待できる研究です。
Final Stageは「死後の世界の門をたたけ!」。ミイラや副葬品などから古代エジプト人の死生観が掘り起こされていました。本展で最も印象的だった作品は、このFinal Stageで展示されていた作品№116「泣き女のレリーフ」。アジアの「泣き女」は聞いたことがありましたが、古代エジプトにもいたんですね。仰々しく嘆き悲しむことが死者の来世での再生を後押しすると考えらえていたそうです。
『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』は6/14(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(5人)。
2026.03.19
松伯美術館 『上村三代と京都市立芸術大学』
高低差を活かした庭園が見事です
写真撮影可の上村松篁「母子の羊」
上村松園、上村松篁、上村淳之の上村三代と京都市立芸術大学の関わりを、作品を通して辿る展覧会です。学ぶ立場であった学生の頃の作品もあれば、教える立場となり、学生から未熟ながらも奔放な刺激を受けながら描いた作品もあります。
印象的だったのは松篁が、入学早々に先生である入江波光から、ものの見方が概念的であると厳しく指摘されショックを受けたというエピソード。淳之もまた学生への指導の中で、人間の目は複眼ではないのだから、どの角度からも同等の鮮明さで見えているわけではないといった内容のことを語っており、写実を追求しながらも、皆が共有する概念ではなく、独自の視点を作品に乗せることを重視する点は共通しています。先生の手厳しい批評から、ずっと探り続けてきたテーマに一つの区切りがついた作品が、ご本人も「エポック」だと語る上村松篁「花鳥」(展示は4/12まで)です。ただ「花(椿)」と「鳥」だけが存在する静かな作品ですが、そこには確かな生命の息吹が感じられます。
『上村三代と京都市立芸術大学』は5/24(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で10%割引になります(1人)。
2026.03.09
美術館「えき」KYOTO 『ヤマザキマリの世界』

原画がズラッと展示されています

食っちゃ寝のパンダさんに癒されます

いつかヤマザキさんが描く天正遣欧少年使節を読みたいです
漫画家、エッセイスト、画家、ラジオパーソナリティ、リポーター。多彩な顔をもつヤマザキマリさんですが、元々の専門はイタリアのアカデミア美術学院で学んだ北方ルネサンスの肖像画です。「北方」とは、現在のドイツ、オランダ、ベルギーの辺りを指します。亜麻仁油の産地であったことから、15世紀初頭に亜麻仁油を使った油絵具が使われるようになりました。それまで主流だったテンペラ絵具に比べて乾燥が遅いため、色を混ぜたりぼかしたりすることができる、厚塗りして質感を変えられるなどの特徴があります。そんな素地を持つヤマザキさんの油絵の肖像画は必見です。ヤマザキさんを「博覧強記」と評する山下達郎さんの依頼で、山下さん、浄瑠璃師の桐竹勘十郎さん、落語家の立川志の輔さんの3点が展示されています。油絵独特の立体感のある写実的な肖像画は、写真とはまた異なる情感を湛えていました。
もう1点印象的だったのは「美術館のパルミラ」。IS(イスラム国)によって殺害された考古学者ハレド・アサド氏に捧げられた短編です。かつてシリアで過ごしたこともあるヤマザキさん。ISによる爆破で今や廃墟と化してしまった世界遺産パルミラを、特別な思いを込めてセリフなしで描かれています。私も、かつてパルミラで普通に洗濯物が干されている光景を見て、世界遺産の遺跡の中に洗濯物?!と衝撃を受けたことを思い出しました。もうあの景色が美術館の中にしか存在しないことが残念でなりません。
『ヤマザキマリの世界』は3/30(月)まで開催。朝日友の会会員証の提示で優待料金に割引になります(4人)。
2026.02.12
中之島香雪美術館「大原美術館所蔵 名画への旅」
中之島香雪美術館
立春を過ぎても寒さ厳しく、春が待ち遠しいですね。先日、中之島香雪美術館で開催中の「大原美術館所蔵 名画への旅—虎次郎の夢」へ行ってきました。会員の皆さん、もうご覧になりましたか?
虎次郎とは、岡山県出身の画家、児島虎次郎のこと。東京美術学校(現東京芸術大学)卒業後の1908(明治41)年、倉敷の実業家・大原孫三郎の支援を受けてヨーロッパへ渡ります。ベルギーの学校で学び、「日本の人々に西洋絵画の素晴らしさを伝えたい」と作品の購入を孫三郎に願い出ました。そして、すでに巨匠だったモネのアトリエに足を運び、交渉の末、「睡蓮」を手に入れました。自分の作品を売りたがらないモネもその熱意に根負けしたとか…。
虎次郎は帰国後も画家として活躍しますが、無理がたたって47歳の若さでこの世を去ってしまいます。孫三郎は虎次郎の功績をたたえて美術館の設立へと動きました。
展覧会では、虎次郎の足取りを辿りながら、作品を鑑賞できるようになっています。エジプト旅行のコーナーもあり、虎次郎の行動力に驚かされました。資金面で支え続けた孫三郎の財力と器の大きさにも感心しますが。大原美術館の門外不出のコレクションが大阪で観られる貴重な機会です。皆さんどうぞお見逃しなく。
(会場出口には、お気に入りの作品に投票するコーナーがありました。私は虎次郎の「和服を着たベルギーの少女」と迷いましたが、ピサロの「りんご採り」に一票入れました)
展覧会は3月29日(日)まで。朝日友の会会員証提示で一般のみ2人まで団体料金割引になります。
また、2月27日(金)まで、朝日友の会窓口限定・平日のみで、ご招待券を1枚プレゼントしています(詳しくはアサヒメイト1・2月合併号、またはホームページをご覧ください)。
●中之島香雪美術館の窓口ではプレゼントのお渡しはできませんのでご注意ください。
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