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スタッフブログ

美術館・博物館

2024.07.04

中之島香雪美術館 『珠玉の西洋絵画』和泉市久保惣記念美術館所蔵品展

ロダン≪考える人≫×茶室「玄庵」

30点に満たない展示でしたが、1点1点に作者のプロフィールと丁寧な解説が付けられており、見応えがありました。華やかで退廃的なベル・エポックの時代から、ヨーロッパが主戦場となった第一次世界大戦を経て、激しい潮流は否応なくヨーロッパの芸術家たちを巻き込みました。そのような社会情勢に伴い、作品のモチーフが、注文を受けて描いていた宗教画や肖像画から、自身の内面を表出する、より内省的で観念的なものへと変化していくさまが興味深かったです。
個人的に特に印象深かったのは以下の3作品。
作品番号11:ピエール=オーギュスト・ルノワール「カーニュのメゾン・ド・ラ・ポスト」
明るく優しい色彩が南仏の空気を運んできてくれます。
作品番号14、オーギュスト・ロダン「永遠の青春」
硬いブロンズ像のはずなのに、柔らかな肉体の感触が伝わってくるようでした。
作品番号19、ジョルジュ・ルオー「女ピエロ」
目がとても印象的。サーカスやピエロは含蓄ある題材で、想像力を掻き立てられます。
『珠玉の西洋絵画』和泉市久保惣記念美術館所蔵品展は9/8(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(2人)。

2024.06.12

兵庫県立美術館 『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』

ナショナル・カミングアウト・デー  クラック・ダウン!   

赤と青の物語(一部)

シンプルな線と明るい色彩の作風から、ポップカルチャーの代名詞的な存在感を放つキース・ヘリングですが、その大衆性は、主たる活動の場が人種の坩堝と言われるニューヨークだったからこそ、より大きな意味をもったのではないかと思います。どんなに芸術的で高尚でも伝わらない啓発ポスターに意味はありません。その点、ヘリングのポスターは人種も年齢も性別も生活環境も問わず、誰にでも伝わる強いインパクトがあります。「鑑賞者もまたアーティスト」だとして受け手に解釈を委ねる寛容性。一方で、人類が犯し続ける過ちに警鐘を鳴らす力強くも悲痛なメッセージ性。時代を象徴する時事性と、時代を超えて訴えかける普遍性。ヘリングの作品から受けるイメージは様々で、シンプルな作品とは対照的です。
特に印象に残ったのは5章「アートはみんなのために」で展示されていた『赤と青の物語』。作品を起点に物語を創造することを目的としたもので、実際に物語創作コンテストなどの教育プログラムでも採用されているそうです。「写真で一言」ならぬ「ヘリングで一言」のような使い方をしても発想力の訓練になるのではないかと思いました。
『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』は6/23(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(2人)。

2024.05.28

髙島屋大阪店 『出版160周年記念 不思議の国のアリス展』

自分がアリスになりきって写真を撮れるスポットも!

こんな風に比較対照できるように展示されています

マクミラン社から出版されたアリス本の挿絵は、ルイス・キャロル自身が依頼したジョン・テニエルに始まり、ハリー・シーカー、ジョン・マックファーレン、ディズ・ウォリスという4人の画家の手によって、時代を跨いですべてがカラー化されました。それらが一挙に公開された貴重な展覧会です。それぞれの画家の挿絵が横並びで展示されているので、比較しながら鑑賞できます。色やタッチの違いで、アリスが少し大人びて見えたり、幼く見えたり…素っ頓狂なキャラクターたちが不気味に見えたり、滑稽に見えたり…
色合いの違いが印象的だったのは、ハートの女王がアリスをにらみつけて「この者の首をはねよ!」と言っている場面。遠景の色が、ハリー・シーカーの彩色では夕方から夜のように暗く濃く、リトル・フォークス・エディション(彩色者不明)では昼間のように明るく見えます。人物の影は、着色前のジョン・テニエルの挿絵の通り、前方から斜め右奥方向に伸びており共通しています。影という自然科学の法則に忠実な現象と、法則なんておかまいなしのワンダーランド。その対比に、作品の世界観が凝縮されているように感じられました。
『出版160周年記念 不思議の国のアリス展』は5/29(水)まで開催。朝日友の会会員証の提示で無料になります(1人)。

2024.05.09

大丸ミュージアム梅田「ブルーナ絵本展」

3月の京都に続いて、大丸ミュージアム〈梅田〉で「ブルーナ絵本展」が開催中です。連休明けの夕方に行ってきました。
ミッフィー(うさこちゃん)の生みの親として知られるディック・ブルーナさんは、1953年から生涯で120冊を超える絵本を制作しました。今回の主役のひとり、くまの男の子「ボリス(ぼりす)」は、ブルーナさん夫妻が南フランスに滞在した際、森での暮らしを絵本にしたいと思ったのがきっかけだそうです。冒険心にあふれて少しおっちょこちょいなボリス。奥様いわく、ブルーナさんにそっくりなのだとか。ほかにも魅力的なキャラクターがいっぱい(ミッフィーも登場!)。『しらゆきひめ』『あかずきん』など童話の絵本原画もありました。
ブルーナさんの描くキャラクターや背景は、とてもシンプル。愛用の細い筆にインクを浸し、紙の上でゆっくり動かすことで、輪郭線がプルプルとにじみます。「ふるえる線はわたしのハートビート(心臓の鼓動)です」と語るブルーナさん。会場のあちこちにそんな温かいメッセージがあり、ふれるたびに心がときめきます。
展覧会は5月13日(月)まで。朝日友の会会員証提示で1人無料です。

2024.04.23

髙島屋大阪店 『第57回 日本いけばな芸術展(前期)』

草月流(河畠秀花、田渕章流、
中村雨光、西野芳流、村上仙香)

未生流(総家)和田高甫

小原流
(山口佳風、濱田豊碧、松井博士)

現代の生け花について、全く不案内な私には衝撃的な展示でした。てっきり床の間を飾る器とお花を想像していたら、床の間には収まりきらない大作のオンパレード。たくさんの流派があり、それぞれの決まりごとがあるのでしょうが、素人目には実に自由に伸び伸びと、創造力の赴くままに空間を演出する喜びに溢れているようで、実用に供さない純然たる鑑賞物としての矜持のようなものを感じました。
さて、それぞれが個性を発揮して心を揺らされる作品ばかりの中で、お気に入りだなんだと勝手なことをぬかすのは憚られるのですが、それでもやっぱり今回もピックアップさせていただきますと、№65の作品(未生流総家:和田高甫)が印象的でした。小さく繊細な草花たちがすっくと佇む姿とシンプルな色彩が、周囲から切り離された世界観を確立していて、葉陰からひょっこりと妖精が顔を出しそうな雰囲気がありました。
第57回 日本いけばな芸術展は4/22(月)で終了しましたが、時々朝日友の会の優待でいけばな展があるので、次の機会を楽しみに待ちたいと思います。

2024.04.18

中之島香雪美術館「北斎と広重」

北斎と広重

 中之島香雪美術館で開催されている「北斎と広重」展に行ってきました。
第1章では北斎の風景画への道が展示されています。
不勉強ながら、北斎が忠臣蔵や漫画(北斎漫画)を描いていることを初めて知りました。
第2章の北斎「冨嶽三十六景」は、富士山を望む各地からの絵にまるで旅をしているようでした。
「北斎の画室模型」では破れた障子の家の中で北斎が絵を描いている姿が再現されており、
ユーモラスな北斎が楽しくなりました。
第3章からの広重は、青色が綺麗なこと。広重ブルーを間近で堪能できます。
作品解説にあった「橋の上の人が方々を向き、人で賑わっているのがわかります」など
当時の人々の生活が身近に感じられ、1つ1つ面白く見ました。
前期と後期で大幅な作品の入れ替えがあります。是非、前期・後期ともに作品をお楽しみください。
前期は5月6日まで、後期は5月8日からです。
朝日友の会会員証利用で団体料金(1500円)になります。

2024.03.12

あべのハルカス美術館「円空」

あべのハルカス美術館で開催中の「円空」展へ行ってきました。会員の方からの問い合わせも多い、注目の展覧会です。
円空は、江戸時代の美濃国(現在の岐阜県)に生まれました。幼い頃に母を亡くして仏像を彫り始め、出家してからも人々の救済のために12万体彫ることを目標にしたと言われています。今回特に印象深かったのが、第4章「祈りの森」。円空が50代の頃にたびたび滞在した飛騨・千光寺に遺された仏像が展示されています。1つの胴体に2つの顔がある「両面宿儺坐像」。『日本書記』によると、「宿儺(すくな)」は大和朝廷に従わず滅ぼされた飛騨の豪族ですが、地元の人々には悪鬼を倒した英雄で千光寺を開いたとも言われています。ずらりと並ぶ「観音三十三応現身立像」は、当時病人が出た家に貸し出されていたとか。そのうち2体が今も戻らず、31体が展示されていました。一見同じような形ですが、よく見ると一つずつ表情が違い、慈愛に満ちた円空のまなざしが伝わってきます。
10年以上前、私は「円空仏」に会いに飛騨・千光寺を訪ねました。市街地から車で約20分、急な山道を登った先にある円空仏寺宝館の入口に、立木に彫られた荒々しい仏像が置かれていました。圧倒されるとともに、振り返ると雄大な北アルプスの山々がそびえていて、清々しい気分になったことを覚えています。
展覧会は4月7日(日)まで。朝日友の会会員証提示で1人のみ半額になります。

存在感ある「両面宿儺坐像」

優しい表情の「観音三十三応現身立像」

2024.02.14

京都市京セラ美術館「村上隆 もののけ 京都」

現代アートの世界で国際的に高い評価を受ける村上隆。京都市京セラ美術館で、関西初の大規模な個展が開幕しました。初日はトレーディングカード目当ての人々で大混雑しましたが、ようやく落ち着いて鑑賞できます。
かねてから、江戸時代の京都で活躍した絵師たちに深い関心を寄せていた村上隆。自身も京都に移り住み、伝統や文化芸能に親しんでいます。今回は「京都」に正面から向き合い制作したとのこと。展示会場へ向かう中央ホールでは、赤鬼と青鬼の迫力ある「阿吽像」が来場者を出迎えています。会場に入ってすぐ、目に飛び込んでくるのは全長13mの「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」。17世紀初めの傑作「洛中洛外図屏風」(舟木本・国宝)を手本にしたとか。描かれているのは町に暮らす人々の日常で、村上のトレードマーク「お花」がダイダラボッチのように徘徊しています。金色の雲にはドクロ模様が浮かび、空にはゆるキャラの「風神」の姿も…。続いての作品「尾形光琳の花」「京都光琳 もののけフラワー」は、金箔に波模様の琳派風ですが、よく見ると「お花」がにっこりと笑顔を向けています。
作品近くには、村上隆手描きのメッセージボードがあり、来場者に楽しんでほしいという思いが伝わってきます。本人曰く、国内ではこれが最後の展覧会とか。もののけたちがうごめく世界を、皆さんもぜひ体験してみてください。
展覧会は9月1日(日)まで。朝日友の会会員証提示で5人まで団体料金に割引となります。

「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」(部分)は細部に注目

「風神図」「雷神図」も村上ワールド全開

2024.02.09

国立国際美術館 特別展『古代メキシコ』

球技をする人の土偶

トゥーラのアトランティス像

古代メキシコ展もエジプト展と同じく、「テオティワカン」、「テノチティトラン」、「テスカトリポカ神」など、覚えにくい名称のオンパレード。会期は5月まであるので、その間「赤テノチティトラン青テノチティトラン黄テノチティトラン」と練習しようと思います!
何の益もない話はさておき、厳しい環境の中で育まれた文明は、超自然の存在への畏怖が強く伝わる神秘的な世界観を湛えていました。中でも興味深かったのは、球技に関する展示です。球技をする人の土偶(№10)や「ユーゴ」という球技用防具(№11)、ゴムのボール(№12)、王が球技をする様子が描かれた外交関係を象徴する石彫(№87)など。ピラミッドや神殿と同様に都市の中心部に球技場が建設されていたことからも、その重要性が伺えます。メソアメリカ世界の球技について、どこかで読んだことがあったなと思い、帰宅して埃をかぶっていた本を探し出しました。公開講座の書籍化で平易で読みやすいので、長くなりますがそのままここに引用させていただきます。
「ボールを手で投げるのではなくて、お尻とか肩でボールを飛ばす。中米は天然ゴムの産地なので、ボールは天然ゴムでつくられている。それを後ろを向いてお尻で飛ばす。しかし、それはかなり痛いらしくて、鹿の皮でつくった褌状のものをはいて、ボールがぶつかっても痛くないようにしている。」~中略~「このように尻でボールをあてて飛ばして、あの環を通すのであるから、われわれにはちょっと想像もつかないような大変な技術である。つまり後ろを向いて尻でボールを飛ばして、しかも高いところにある小さな環の間を通すのである。一体どれくらい練習すればできるようになるのか不思議だが、いずれにしてもそういうことが行われていた。」手ではなく腰を使うバスケットボールのようなイメージでしょうか。また、球技の持つ意味については、「球戯はマヤにおいては、神話的な背景をもっていたのではないかといわれている。というのはマヤの一派であるキチェ族というインディオに伝えられていた『ポポル・ヴフ』という叙事詩に書かれた神話によると、この世の初めにおいて二人の男の兄弟がいた。これはおそらく太陽と月をあらわしていると思われるが、これが暗黒をあらわすいろいろな神々とボールを使って競技を行い、それを負かしたという。マヤにおいて行われた球技は、いわば神話に語られたこの世の初めの、最初のボールの競技を儀礼として繰り返して行っているのではないか、神話で語られているこの世の初めにおけるボールを使っての競技を手本として繰り返し行っているのではないか、と解釈されている。」単なる娯楽ではなく儀礼的な意味をもっていたということですね。
特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』は5/6(月・振休)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(3人まで)。
引用元:「東京大学公開講座44 スポーツ」(東京大学出版会、1986年発行)より、大林太良『スポーツと儀礼』

2023.10.19

髙島屋大阪店 『第70回 日本伝統工芸展』

きれいなものを鑑賞するのは心の養分になります

今回も、あれこれと言葉を連ねても却って、作品を陳腐なものに貶めてしまいそうで恐縮するくらい美しい作品ばかりでした。どれもこれも好きなのですが、それでも何とか勝手にピックアップ!
・作品№105彩釉器「極光」(田島正仁)。深い深い茶紫が印象的です。伝統色の分類でいうと「桑の実色」が近いでしょうか。その中にパッと鮮やかな緑と黄。500~600くらいの波長の緑と黄は可視光線の波長範囲の中間で、特に緑は人間の目が最も捉えやすい色とされます。最も波長の短い紫の中に浮かび上がる緑と黄という理にかなった配色に納得。
・作品№257友禅訪問着「月夜の薄」(二塚長生)。こちらは「木賊色(とくさいろ)」くらいの色目。薄の模様が描く放射線に、降り注ぐ柔らかな月光を感じられます。
・作品№459彩変化花器「〇△▢」(藤塚松星)。タイトル通り〇と△と▢で構成された作品なのですが、全体のフォルムが、中央が凹んで縁に向かって高くなる形状で、三次元が織りなす変化に奥行きを感じました。
・作品№549截金硝子器「雪降り積みて」(山本茜)、作品№551線刻硝子水盤「白翠」。形も色も質感も何もかもが美しい。会場にはたくさんの照明があるので影も複数できるのですが、その影もまた作品を引き立てています。
『第70回 日本伝統工芸展』は10/23(月)まで開催。朝日友の会会員証の提示で無料になります(1人)。

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