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スタッフブログ

美術館・博物館

2022.11.17

中之島香雪美術館 『伊勢物語 絵になる男の一代記』

「伊勢物語図色紙」香雪美術館蔵のA5クリアファイル

華やかな平安絵巻を期待して行ったところ…いや、もちろん期待通りではあったのですが、煌びやかな絵巻物の印象よりも、学術的な考察が大変興味深く、勉強になる展覧会でした。
第四十九段の「琴」の有無とその場に描かれている兄と妹の佇まいから伝わる雰囲気。よそよそしいのか、仲睦まじいのか。物語絵の共通点から導き出される、基本となる型の絵があったのではないかという考察。並べ、比較し、考え、読み解く面白さが伝わってきました。
さて、学術的とはいっても、毎度挙げているように、今回もお気に入りはピックアップしておきます。作品番号20の『伊勢物語絵巻』です。緻密な部分と、大雑把に省略されている部分があったり、周囲との対比で明らかに大きく描かれている草花があったり、独特の表現で印象に残りました。もちろん香雪本の『伊勢物語図色紙』も微細なところまで描き込まれた良作で必見です!
『伊勢物語 絵になる男の一代記』は11/27(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(2人まで)。

2022.10.21

大阪中之島美術館「ロートレックとミュシャ」展

10月14日、大阪中之島美術館で開催される「ロートレックとミュシャ」展の内覧会へ行ってきました。「ベル・エポック(美しき時代)」と呼ばれる19世紀末のパリで活躍し、ポスターを芸術の域に高めた2人、ロートレックとミュシャの代表作が展示されています。実はこれらのほとんどが、大阪市・天保山にあった旧サントリーミュージアムのコレクション。2010年に休館になり大阪市に寄託され、久しぶりに公開されました。
興味深いのは、同じ作品のステート(刷りの段階)違いを見られること。たとえばミュシャが手がけた舞台女優サラ・ベルナールのポスターなら、背景のデザインが変更されたり、会場の名前が追加されたりしています。そして個人的には、ポスターのタイトル文字に目が止まりました。すべて画家の手描きで、細部にまでこだわっています。デジタルが主流の現代では、パソコンの文字はきれいに整っていますが、なんだか物足りない。画家の情熱がストレートに伝わってきて、とても新鮮でした(30年ほど前は日本の広告もそうだったよなぁ・・とつい感傷的に)。
ショップでは、額装されたミュシャのリトグラフ(小判サイズ)が売られています。すべて本物で、早い者勝ちなのだとか。ミュシャ好きな方はこちらも必見です!
「ロートレックとミュシャ」展は2023年1月9日(月・祝)まで。朝日友の会会員証提示で3人まで団体料金に割引です。

Hミュシャ

ダイビルの2F通路から眺める大阪中之島美術館。後ろに国立国際美術館が見える

Hミュシャ2

アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ」(左)「ジスモンダ(文字のないステート)」(右)1894年 ともにサントリーポスターコレクション、大阪中之島美術館寄託

2022.09.22

髙島屋大阪店 『追悼 瀬戸内寂聴展』

寂聴さんの書斎再現

酒と肉が大好きで愛に生きた僧侶、寂聴さんを想うと、歴史の授業で習った「白河の清き魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき」という狂歌が頭に浮かびます。これは寛政の改革を風刺した歌ですが、寂聴さんの言葉に励まされ癒される人々もまた、濁りなき聖を息苦しく感じ生々しい俗にどこか安らぎを覚えていたのではないでしょうか。
展覧会は全6章で構成されており、第5章「源氏物語の世界」に展示されていた「現代語訳のための決意メモ」と「あの訓戒、全然守れなかった」は、是非はご覧いただきたいです。長い年月をかけた源氏物語の現代語訳に取り組むにあたっての固い決意!かと思いきや…何とも寂聴さんらしく、人間的魅力に溢れています。また、出家得度前にカトリックの洗礼を受けることについて相談したという遠藤周作さんからの手紙はとても心がこもっていて、その交流に温かい気持ちになりました。
『追悼 瀬戸内寂聴展』は大阪店では9/26(月)まで、その後、髙島屋京都店で10/12(水)から10/31(月)まで開催。朝日友の会会員証の提示で無料なります(1人)。

2022.09.09

阪急うめだ本店 『小松美羽展』

自己と外界に向き合い深く深く探究していくと、このようなエネルギーに溢れた、魂の躍動する世界が見られるのでしょうか。荒々しく、それでいて繊細。描かれた神獣たちは、近寄りがたい「霊性」ではなく、親しみやすく愛らしい「霊性」を湛えていました。
個人的なイチオシ作品は、『宇宙吠え獅子』と「見ざる聞かざる言わざる」ならぬ『悪を見るな-山犬-』『悪を聞くな-山犬-』『悪を言うな-山犬-』の三連作です。『宇宙吠え獅子』は、有田焼の美しい白磁にフワッとした模様と丸いフォルムがたまらない。宇宙に向かって吠えているはずなのですが、玄関に鎮座されていると「おかえり!」と今にも言ってくれそうです。『悪を~』は、清らかな善なる精神の衒いのない表現を広く共有したいと思いました。
作品だけではなく、会場内に展示されている小松美羽さんの言葉も、是非じっくりと読んでいただきたいです。純度の高い魂から紡がれる言葉には、素直に心を打たれます。
『小松美羽展』は9/19(月・祝)まで開催。朝日友の会会員証の提示で100円割引になります(1人)。

『宇宙吠え獅子』

静かな空間で小松ワールドに浸れます

円を描くしっぽの軌道が
「大調和」をイメージしているような??

2022.08.30

神戸市立小磯記念美術館 『秘蔵の小磯良平-武田薬品コレクションから』

緑豊かな六甲アイランド公園内にあります

美術館の中庭に移築された自宅兼アトリエ

年も近く、父の代から縁のあった小磯良平と六代目武田長兵衛。戦争で自宅兼アトリエを焼失した小磯に、武田が住吉山手の自宅近くの土地を紹介したことでご近所さんとなり、その後、生涯にわたって親しい交流が続いたそうです。食事や旅行をともにしたり、小磯作品の題材となる舞妓の髪型を様々な角度から写真に収めて制作に協力したり。それほどに深い理解者であった武田長兵衛の、まさに「秘蔵」といえるコレクションでした。
1~3部に分かれており、第1部は油彩の肖像画を中心とした展示です。ここでは作品番号42「婦人像」が印象に残りました。緑色のドレスを着たご婦人なのですが、そのドレスの布地、サテンの質感がありありと伝わってきます。
2部以降では、数々の薬用植物画が展示されています。中でも今回のお気に入りは、作品番号128「ワタ」です。ほとんどの作品が繊細な線描で表現される中、真っ白な綿の果実がフワフワと可愛らしく、42「婦人像」同様にその手触りを視覚から感じ取ることができます。もう1点は作品番号160「シャクヤク」。ここで展示されている植物画は『武田薬報』の表紙画として描かれたものですから、花、実、葉、茎だけでなく、地中に埋まっている「根」を強調して描かれているものが多くありました。特にそれが印象に残ったのが「シャクヤク」です。芍薬というと艶やかで優美な花の代表格ですが、薬用植物として描かれる芍薬は、ただ美しいだけではありません!と主張しているようでした。
『秘蔵の小磯良平-武田薬品コレクションから』は9/25(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で200円引きになります(5人まで)。

2022.08.26

神戸ゆかりの美術館「白洲次郎・白洲正子」

昭和の激動の時代を生きた白洲次郎と正子。今も多くのファンを持つ2人の展覧会が、神戸ゆかりの美術館で開催されています。会場はそれぞれの生い立ちに始まり、結婚前に交わした書簡、趣味や仕事、そして武相荘(自宅)での暮らしぶりまで、いくつかの章に分けて紹介されています。
私が興味をひかれたのは、正子と装丁家・青山二郎との手紙のやり取り。骨董好きの正子が師と仰いだ青山は辛口な評論で知られ、正子からの手紙にも「面白くない、簡潔に上手に書くように」と返事をしています。当時、青山や小林秀雄、大岡昇平らは夜な夜な集まって、骨董や美の本質について論じていました。銀座で工芸の店を開いていた正子も割り込んで参加するのですが、お酒と不規則な生活に何度も胃潰瘍になり、入院することもあったとか。夫の次郎は反対しなかったのか?と思いますが、互いを尊重し、領域には踏み込まなかったようです。好きなことには真っ直ぐな、似た者同士だからでしょうか。そういうわけで、会場には正子が集めた古伊万里の器をはじめ、高名な作家たちの作品がずらりと並んでいます。
ほかにも正子愛用の着物や西国巡礼の取材メモ、次郎の愛用品や戦後日本政府の代表としてGHQと交渉した際の書類など、貴重な品々が展示されています。2人が何に情熱を注ぎ、どう生きたのかをぜひ会場で体感してください。
「白洲次郎・白洲正子」展は9月25日(日)まで。朝日友の会会員証提示で4人まで団体料金に割引です。

2022.08.18

あべのハルカス美術館 『出版120周年 ピーターラビット™展』

作者であるビアトリクス・ポター™自身に非常に興味がわく展覧会でした。
キャラクターの商品化にあたって特許を取得したり、自らぬいぐるみを試作したりといった、キャラクターの再現性へのアーティスティックな拘り。絵本が他国語に翻訳された際には、「ピーターラビット」は、それぞれの地域で親しみやすい名前に変えて出版されたというエピソードからわかる高い柔軟性。塗り絵出版時には、低額でのバラ売りを提案するビジネスセンス。このような様々な面に触れられるのは、作品そのものだけでなく、その周辺部分から多角的に作品を紹介してくれる展覧会ならではの面白さです。
今回のお気に入りは、「ピーターラビットの追いかけっこゲーム」です。ピーターとマグレガーさんの追いかけっこをボードゲームにしたもので、ポター自身が発案し、ルールについての自筆メモも展示されていました。カラフルでかわいくて楽しそう!
会場内には、所々に絵本の場面を再現したフォトスポットが設置されていました。中でも木戸の下からマグレガーさんの畑に侵入しようとするピーターのおしりフリフリは必見です。
『出版120周年 ピーターラビット™展』は9/4(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で半額に割引になります(1人、同伴1人を団体料金に割引)。

子を案ずる親の姿はウサギもヒトも同じ

こらこら
お母さんにダメって言われたでしょ

ピーター、ラディッシュおいしい?

2022.08.09

兵庫県立美術館「関西の80年代」

「関西の80年代」を開催中の兵庫県立美術館へ行ってきました。連日の暑さに、屋上にいるマスコットの美かえる(ミカエル)もぐったりしています。入り口には「80年代は過去じゃない」と書かれたオブジェがありました。
さて、皆さんは80年代といえば何を思い出しますか?雇用機会均等法、バブル景気…。私は社会人になった頃で、広告の勉強をしていました。ネットもないアナログの時代で、クリエーターたちが熱く語り合い、枠にはまらない表現を模索していました。
展覧会では、第一線で活躍する作家たちの駆け出しの頃の作品が並んでいました。広い空間に絵画やオブジェ。明るい色彩や題材に80年代の雰囲気を感じます。その中でもひときわポップで、不思議ワールド全開だったのが、陶芸家・田嶋悦子さんの「Hip Island」。陶(=焼き物)でできた木の幹や植物に、小さなお尻のような花?が咲いています。田嶋さん曰く、「何物にも囚われず表現したい」という強い想いがあったとか。田嶋さんは現在、陶とガラスを組み合わせた美しい花のオブジェを制作されていますが、今も当時の想いを持ち続けていらっしゃるそうです。
80年代は過去ではありません。作家たちの原点であったり、通過点であったり…今日までつながっています。皆さんもネットで最近の作品を探して、見比べながら鑑賞してみてください。
「関西の80年代」は8月21日(日)まで。朝日友の会会員証提示で2人まで団体料金に割引です。

美術館のマスコット・美かえる

陶芸家・田嶋悦子さんの「Hip Island」

メイトでもご紹介した吉原英里さんの「M氏の部屋」

2022.07.12

中之島香雪美術館「陶技始末(とうぎしまつ)

中之島香雪美術館で開催中の「陶技始末」。河井寛次郎は、思想家の柳宗悦や濱田庄司らと民藝運動を行ったことで有名ですが、陶芸家としてのスタートは、中国古陶磁を手本とした作品でした。今回の展覧会では、その初期の作品と、民藝運動の頃の作品、そして辿り着いた陶彫による造形作品まで、大きく3つに分けて紹介されています。
ちなみに「陶技始末」とは、河井が民藝運動の機関誌「工藝」に寄稿したコラムのタイトル。無名の職人が作る日用品に宿る美を求めて日本各地へ出かけ、そこで目にした技術を詳細に記しています。スケッチや文面からは、研究熱心で几帳面な性格が伺えます。自身も大きな影響を受け、丹波風や唐津風など様々な作品を生み出しました。
日用の器は、鑑賞用でなく使われることが目的。展示されている大皿や鉢を眺めながら、どんな料理と相性がいいのか思いを巡らすのも楽しいですね。
河井が柳や濱田らと熱く語り合った京都(東山)の自宅兼仕事場は、記念館として一般公開されています。ぜひ訪ねてみてください。
「陶技始末」は8月21日(日)まで。朝日友の会会員証提示で一般が2人まで団体料金に割引。「河井寛次郎記念館」は朝日友の会会員証提示で1人100円引きです。

2022.06.04

庵野秀明展に行ってきました

会場を入ってすぐ、新聞一面広告にもなった庵野監督の仮面ライダーパネルがお出迎え。
その横には、安野モヨコさんの監督画もあります。
これが似ていてカワイイです。

監督の制作物として最初にあったのは、中学・高校時代の油彩の静物画。
監督もここからスタートしたのかと、感慨深く見ました。
さらに進むと「風の谷のナウシカ」に関わっている頃の宮崎駿監督の「らくがき、メモ等」が展示してあります。
作画のアドバイスもあるのですが、「はやくカットあげろ」「寝すぎ」などのお小言もあり
庵野監督の怒られていた時代が覗けて嬉しくなりました。
私が一番心打たれたのは、監督の頭の中が垣間見える膨大な直筆資料など。
絵コンテをはじめ、「シン・ゴジラ」では役名の横に人物像が書いてあったり、
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では、大きな模型まで作ったり。
一から作り出し形にするまでに、大きなエネルギーが注がれているのを感じました。

会場は動画を除き、多くが写真撮影OK。
新聞広告にもよく出ているエヴァンゲリオンを撮ろうとしたら
あまりにも大きく、何度か後退し構え直しました。
最後は、広告でお馴染みのウルトラマン・ゴジラ・仮面ライダーが3人そろってお見送り。
壁に小さく、監督自らの直筆メッセージも飾ってありました。
大きな応援を貰った気分で、会場を後にしました。

『庵野秀明展』は6/19(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で一般を1人のみ半額になります。

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