スタッフブログ
美術館めぐり
2023.08.01
足立美術館で夏季特別展を鑑賞
7月19日、20日と美術館めぐりバスツアーを催行しました。今回の目的地は、島根県安来市にある足立美術館。大阪から車で約4時間、日帰りで行けるギリギリの距離です。運転手さん2人が交代でハンドルを握り、行き帰りとも2回休憩をとりました。
足立美術館は横山大観の絵画をはじめ、豪華なコレクションで有名ですが、壮麗な日本庭園が頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。創設者の足立全康氏が「庭園も一幅の絵画である」という信念のもと手がけた広大な庭は、館内の様々な場所から眺めることができます。自然の山を借景にして、春のツツジ、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪と移りゆく庭の景色を楽しみに訪れる方も多く、会員さんも「前回のバスツアーは紅葉で、今回は緑のグラデーションね」と実に楽しそうでした。
さて、次回のバスツアーは、今アサヒメイトではやりの?民藝の里へでかけます。詳細は9月号をお楽しみに。

館内を歩くと、薄暗い廊下の先に白砂の庭が現れる
2023.05.29
美術館めぐりバスツアー「徳川美術館で『大蒔絵展』鑑賞」
5月21日、26日と美術館めぐりバスツアーを催行しました。今回の最初の目的地は、名古屋市内にある徳川美術館。2019年に新名神の新たなルート(亀山西〜新四日市)が開通し、予定より15分早く現地に到着。本当に便利になりました。
「大蒔絵展」では、会場に平安時代から現代まで、時代ごとの名品が並びます。江戸時代、わずか3歳で尾張徳川家に嫁いだ千代姫の婚礼道具「初音の調度」や特別公開「源氏物語絵巻」(国宝)の「柏木」など、贅沢かつ優雅な世界を満喫しました。
その後は、名古屋城を右手に眺めながら西へ。ノリタケミュージアムでオールドノリタケの名品にふれた後、広く開放的なノリタケの森で過ごします。参加者の皆さんも川沿いのベンチやカフェで休憩したり、ショップで買い物をしたりと、時間いっぱい楽しまれていました。
今週末は出石永楽館で落語を堪能するバスツアー。台風の影響が心配ですが、安全安心を心がけて行ってきます!

お天気にも恵まれた徳川美術館(21日)

ノリタケミュージアム

ノリタケの森のシンボル、メタセコイア
2023.04.03
美術鑑賞バスツアー「大徳寺聚光院」の国宝鑑賞と嵐山散策
3月22日、26日に今年最初の日帰りバスツアーを催行、京都市北区へ向かいました。最初の目的地は、千利休ゆかりの大徳寺聚光院。博物館で大切に保管されている本堂の障壁画(国宝)が5年半ぶりに里帰りし、特別公開されています。現地では案内人の方と一緒に庭、本堂、茶室と移動しながら、歴史や作品の背景にある物語に耳を傾けました。
その後、嵐山・渡月亭で昼食をとり、福田美術館へ。新たにコレクションに加わった東山魁夷や加山又造らの作品を鑑賞します。そして館内のカフェで休憩したり、天龍寺へ足を運んだりと、思い思いの時間を楽しみました。
コロナ禍での移動制限がなくなり、また桜のシーズンとあって、嵐山は国内外からの観光客で混雑していました。22日は夏日で暑い、26日は小雨で肌寒いと、両日ともに不安定な天候でしたが、体調をくずされる方もなく無事にツアーを終えることができました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

特別公開中の大徳寺(22日)

嵐山も春の装いに(26日)
2022.11.25
「美術館めぐり」バスツアー「ルネ・ラリック展と古民家フレンチ」
11月中旬から下旬の紅葉シーズンに、今年最後の美術館めぐりバスツアーを催行。全国旅行支援の対象になったこともあり、たくさんの方にご参加いただきました。
今回の目的地は丹波篠山。焼きものの里にある兵庫陶芸美術館で、アール・デコの芸術家、ルネ・ラリックの作品を鑑賞します。昼食は、城下町にある古民家を改装した人気のフレンチレストラン。落ち着いた空間で旬の食材を使ったコース料理をいただき、午後は紅葉の名所として知られる安泰山大國寺へ。住職さんの楽しいお話を聴きながら、赤や黄色に色づいた木々を堪能しました。
ツアーにはお一人参加も多いのですが、回を重ねるごとに打ち解けて、サークルのような温かい雰囲気になってきました。同行する事務局のスタッフも皆さんの笑顔に癒やされています。さて、来年はどこへ行こうかな?

大型常夜灯「エニシダの花と枝」1920年

香水瓶「真夜中」1924年 液が入ると星模様が輝く

趣のある城下町ホテルNIPPONIAのレストラン

大國寺本堂前の鮮やかなオオモミジ
2022.09.30
「美術館めぐり」バスツアー「倉敷美観地区と大原美術館を満喫」
台風一過の9月21日、美術館めぐりバスツアーに同行しました。目的地は、岡山県倉敷市にある美観地区。参加者の皆さんは口々に「久しぶりに来た」とおっしゃっていましたが、私も学生時代に訪れてから数十年が経ちます。
大原美術館は、実業家の大原孫三郎が支援した画家・児島虎次郎(1881〜1929)の作品と、彼が海外で収集した西洋絵画や東洋美術のコレクションで有名です。私もかつてエル・グレコやモネ、ゴーギャン、ピサロらの作品に感銘を受けたことを覚えています。
今回再訪して、一番心ひかれたのは児島虎次郎の作品でした。会場入口にあった「和服を着たベルギーの少女」と、3枚の連作「朝顔」。児島は1908年、フランスで印象派が主流だった時代に渡仏します。しばらくしてベルギーへ移動し、ベルギー印象派の画家エミール・クラウスに出会って師と仰ぎ、和服を着た異国の少女たちを描きました。「朝顔」は帰国後に結婚し、手がけた大きな作品。浴衣姿の夫人でしょうか、背丈以上ある棚に手を伸ばして朝顔の世話をしています。柔らかな光を背に、浴衣は風をはらみ、穏やかでやさしい空気に包まれていています。どの作品も幸福感にあふれていて、画家の深い愛情を感じました。
何年か先に再び訪れたら、また違う出会いがあるかもしれない。そんな楽しみを胸に美術館を後にしました。

美観地区・白壁の蔵屋敷とショップやカフェが並ぶ

神殿のような大原美術館正面入口

美術館の庭にはモネ邸から株分けされた睡蓮も
2022.07.27
「美術館めぐり」バスツアー 「夏の花と湖南の美術館をめぐる旅」
7月中旬の3日間、美術館めぐりバスツアーを催行しました。今回は滋賀県にある2つの美術館をはしごし、夏の花を愛で、お昼には近江牛ステーキをいただくという少し欲張りなプラン。会員の皆さんからたくさんご応募をいただき、2日間はバスを2台に。現地での混雑を避けるために別々の美術館からスタートしました。
佐川美術館では「イスラエル博物館所蔵 ピカソ展」を、滋賀県立美術館では「塔本シスコ展」を鑑賞。多彩な創作活動を行い、膨大な作品を残したピカソは、版画でもあらゆる技法に挑戦していました。モデルになったのは、恋多きピカソのミューズ(女神)たちです。塔本シスコは、50歳を過ぎて独学で油絵を始めました。生まれ故郷の熊本や大切な家族との思い出を描いています。
2人の画家に共通するのは、自分の思いに素直で、特に晩年は迷いがないこと。描きたいから描く、やりたいからやる。どちらも91歳で亡くなるまで、その情熱は尽きることがありませんでした。会員の皆さんは作品を眺めながら、「すごいね」「もう少し見ていたい」と口々におっしゃっていました。
これからも朝日友の会では、美術館をはじめテーマのある旅を企画していきます。ご参加をお待ちしています!

水盤に浮かぶ佐川美術館

水生植物公園 みずの森

塔本シスコさんの故郷の海
2021.12.09
「美術館めぐり」バスツアー 「和久傳ノ森で『安野光雅展』鑑賞とランチ」
京丹後の土地に合った樹木で森が再生されたそうです
和久傳特製ランチの前菜
この「美術館めぐり」バスツアーを始めた当初のコンセプトの一つとして、アクセスが悪くて個人ではなかなか行きづらい美術館にバスツアーで行っていただくというものがありました。今回の行先である和久傳ノ森はまさに、そのコンセプト通りの、個人では行きにくいところにあります。
和久傳ノ森の前に、まずは「丹後ちりめん歴史館」へ。日本一の絹織物生産地である丹後地方で1300年もの歴史をもつ丹後ちりめん。その繊細な肌触りの絹に触れました。特に模様の入ったジャガード織の白い絹地の美しさは格別です。また、繭から抽出されるセリシンというアミノ酸タンパク質が人間の肌に含まれる成分に極めて近く、美肌効果があるそうで、セリシンを使った化粧品や手袋なども販売されていました。
次はいよいよ和久傳ノ森。安野光雅館では、『安野光雅追悼展 イギリスの村』が開催中でした。どれもこれも優しいタッチで心癒される作品ばかりですが、特に気に入ったのは、『ヨークシャーの丘』と『ネス湖畔の館』。「ヨークシャー」といえば、まず思い浮かぶのが、エミリー・ブロンテ作『嵐が丘』。キャサリンとヒースクリフの激しい愛を象徴するような厳しい自然の荒野が広がっているイメージです。安野さんの作品では、豊かな緑が広がる穏やかな風景が描かれていますが、波打つ丘の隆起が『嵐が丘』の世界を連想させます。『ネス湖畔の館』は、草木の緑色と建築物の茶色が中心となる本展の作品の中にあって、ヒンヤリとした静謐な空気感を醸し出すネス湖の水が目を引きました。
最後は、道中で天橋立の絶景を鑑賞しながら、「元伊勢」と言われる歴史をもつ籠(この)神社へ。京都市内とは異なる、日本海側の京都の奥深い魅力に触れた一日でした。
2021.07.19
「美術館めぐり」バスツアー「大塚国際美術館」

ジョット「小鳥への説教」
本物はイタリア・アッシジのサン・フランチェスコ聖堂にあります

フラ・アンジェリコの「受胎告知」
これも個人的に好きな作品
本物はフィレンツェのサン・マルコ美術館に
7月8日、「美術館めぐり」バスツアーに同行しました。今回の目的地は、鳴門市にある大塚国際美術館。世界中の有名な絵画1,000点以上を見られることで知られています。名画が一堂に?そんな離れ業ができるのは、作品が陶板(タイル)に印刷されたものだから。作品を原寸大で再現したもので、時が経っても色あせることがありません。
美術館は4階建ての大きな施設。地下3階の入口から入ると、ミケランジェロの天井画で有名な「システィーナ礼拝堂」が迎えてくれました。教会音楽が流れ、荘厳な雰囲気です。そして、古代から近代へと展示室を回ります。
中世の絵画を見ているとき、ふと足が止まりました。そこにあったのは、ジョットの「小鳥への説教」。イタリア・アッシジにあるサン・フランチェスコ聖堂の壁に描かれた「聖フランチェスコの生涯」の一つです。約20年前、イタリア中部を旅した私は、この作品が見たくて現地を訪れました。教会の壁を飾るフレスコ画は、外気の影響を受けて色があせたり、剥がれたりしやすいものです。個人的には長い年月を過ごした作品にふれるのが好きですが、繊細な作品を陶板名画として後世へ残せるのは意義のあることだと感じました。
そしてあの時、夕日を浴びた教会の広場にたたずむ修道士の姿が脳裏をよぎり、懐かしい気持ちでいっぱいになりました。またいつか、あの場所を旅したい。大塚国際美術館を訪れて、同じような体験をされる方も多いのではないでしょうか。
2021.04.02
「美術館めぐり」バスツアー 『徳川美術館の雛人形と文化のみち二葉館』

徳川美術館とトウカイザクラ

二葉館~半円の部分にソファーがあります
徳川美術館では毎年3月に、尾張徳川家伝来の雛人形・雛道具が展示される『尾張徳川家の雛まつり』が開催されます。今回の美術館めぐりの目玉は尾張徳川家の雛人形。豪華で気品ある有職雛の数々には圧倒されます。雛道具も実際の婚礼調度と比べても遜色のない精緻な作りに感動しました。
また、徳川美術館では特別展の他にも、尾張徳川家に縁の品々や名古屋城二の丸御殿の茶室や広間の復元、徳川美術館が所蔵する国宝『源氏物語絵巻』の複製・映像による紹介など、見所たっぷりでした。
美術館横の蓬左文庫では「尾張の百科事典―御秘本『張州雑志』』が開催されており、中世尾張の様子を知ることができる貴重な地誌が展示されていました。ここでは、家康(竹千代)が人質として預けられていたときに遊んだとされる紙雛も見ることができました。
徳川美術館と蓬左文庫鑑賞後は、同敷地内の徳川園を散策。美術館前のアプローチではトウカイザクラ(東海桜)が満開でした。竹箒を逆さまにしたような、下から上に向かって広がる枝振りが美しく、アルコールなしでも存分に満足なお花見ができました。
徳川美術館の後は、川上貞奴と電力王・福沢桃介が暮らした「二葉御殿」を移築・復元した「文化のみち二葉館」へ。福沢桃介の義弟であり、日本のグラフィックデザインの先駆者とも言われる杉浦非水がデザインを手がけたステンドグラスが、色鮮やかで建物の雰囲気にぴったり。電力王の邸宅だけあって、自家発電できる設備を備えており、大正時代の個人宅とは思えないような立派な配電盤も見どころです。1階大広間のソファーは、表面の張地は張り替えられているものの、スプリングは当時のものを再利用しているそうです。一度座ると立ち上がりたくなくなるくらいの、フワフワとした気持ちのいい座り心地でした。
2020.10.19
「美術館めぐり」バスツアー『足立美術館で日本画のアートと庭園を』

足立美術館の枯山水庭

雄大な大山
今月は、昨年10月の『豊田市美術館でクリムト作品の魅力に触れる』から約1年ぶりに「美術館めぐり」バスツアーを実施することができました。行先は島根県安来市の「足立美術館」。開館50周年を記念して「日本画ベストアーティスト10」を開催中でした。
足立美術館に先立って、まずは腹ごしらえということで、米子の「食留芽(グルメ)」で昼食を。女将さんが美術好きの方で、店内には梅原龍三郎のラフ画が飾られており、思わぬところで美術鑑賞のウォーミングアップ。
足立美術館はもはや説明不要の有名美術館ですが、やはり生で見る庭園は格別でした。あの奥行きと立体感は二次元の写真や画像では味わえません。桂離宮が微に入り細を穿つ美だとすれば、足立美術館は近寄り難い程の圧倒的な造形美という印象です。
開催中の「日本画ベストアーティスト10」は、横山大観を始め、竹内栖鳳、安田靫彦、上村松園、橋本関雪など、オールスターの作品がズラリと勢揃い。数十センチほどの位置から細部を観察したり、少し距離を取って全体を眺めたり、連作をまとめて視界に入れたり、あの手この手で鑑賞できました。ぎっしりと人が密集していた昨年までではこうはいかなかったでしょう。私は美術鑑賞をする際、「どれでも好きな作品をあげるよ」と言われたら何を選ぶかなとよく考えるのですが、今回のお気に入りは横山大観『晩秋』です。シマリスと柿が描かれたこの作品の、渋くも愛らしい二面性に魅了されました。
今年は魯山人館も新たにオープンし、行って良かったと思えること間違いなしです。
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