スタッフブログ
美術館・博物館
2022.05.10
京都市京セラ美術館 「ポンペイ展」
京都市京セラ美術館で開催中の「ポンペイ展」へ行きました。あいにくの雨ですが、休日とあってにぎわっています。会場に入ると、大型スクリーンに街が火砕流に飲み込まれる様子(イメージ)が映し出され、場内では、発掘された遺物とともに施設や邸宅の一部が再現され、当時の人々の暮らしが体験できるようになっていました。
フレスコ画や精緻なモザイク画は、永年灰に覆われていたためか、損傷が少なく良い状態を保っています。アサヒメイトでもご紹介したブロンズ像「踊るファウヌス」は、邸宅の玄関広間で主や客人の目を楽しませていたようです。伸ばした手の指や背中の筋肉が躍動感にあふれ、それゆえ人々を襲った悲劇と世の儚さに胸が締めつけられました。
会場は撮影OKで、あちこちからスマホのシャッター音が響きます。とりわけ注目を集めていたのが、炭化した大きなパン。近くには食卓に置かれたパンの静物画があり、私も思わず見比べてしまいました。
「ポンペイ展」は何度か来日しており(2001年には神戸)、今回はその「決定版」とのこと。現地では発掘作業が続いており、これっきりではないと思いますが、ぜひ会場へ足を運び、古の人々の暮らしに思いを馳せてください。
会期は7月3日まで。朝日友の会会員証で1人200円引き、同伴3人まで100円引きです。
ファウヌスは、古代ローマの森の神
丸焦げになってしまった、ふかふかのパン(右奥)。
いちじく(左奥)やブドウ(手前)も。
2022.04.28
神戸市立博物館 『大英博物館 ミイラ展~古代エジプト6つの物語~』
一部、撮影可のエリアがあります。
平日限定のハガキをいただきました。
神戸市立博物館で開催されている『ミイラ展』に行ってきました。会期が長いのでアサヒメイトでは1月号から5月号まで5号連続でご案内しており、またもや「赤アメンイリイレト青アメンイリイレト黄アメンイリイレト」を練習する時間はたっぷりありました(エジプトといえば早口言葉!)。
かつては生きた人であったミイラ。おそらく多くの人が、生々しい生死とは切り離し、鑑賞の対象物として客体化することで、平然と対峙できているのではないでしょうか。でも本展では、最新の研究から明らかになったミイラの個の属性をあわせて紹介することで、彼らもかつては同じ地球上で生活していた人であったという事実に我々を立ち戻らせてくれます。食品やアクセサリー、楽器、子どものおもちゃなど、生活に密着した展示品は、彼らが生きた時代の日常はどのようなものだったのかという想像を助けてくれました。
今回のお気に入りは、作品番号174「メリセクメトという子供の葬祭用ステラ」です。状態の良いステラがたくさん展示されていましたが、鮮やかな彩色が特に印象に残りました。また4人目のミイラ、タケネメトのコーナーは、タケネメトのミイラ、内棺、中棺、外棺が同じスペースに連続して展示されており、興味深いものでした。外棺は大きくて迫力があるのですが、ミイラ本体は外棺よりもずっと小さく、布でグルグル巻かれエコノミー症候群になりそうな状態で、ストレッチしたいだろうなぁなどと考えてしまいました。
2時間以上かけましたが、それでも時間が足りず、最後は閉館時間が近づき駆け足になってしまうくらい充実した鑑賞となりました。
『大英博物館 ミイラ展~古代エジプト6つの物語~』は5/8(日)まで開催。「事前予約優先制」です。GW期間中は混むかもしれませんので、事前予約してから行かれることをお勧めします。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(5人まで)。
2022.02.22
歴史的資産の保存について考える
グッズを購入することも多少の貢献にはなるでしょうか??
北京五輪が終わり、これから何を楽しみにすればいいのか…と思っているところに、更に残念なお知らせが!東京・日野にある土方歳三資料館が今年の10月末で一旦休館するそうです。理由は「個人での運営に限界を感じて」とのこと(土方歳三資料館公式ツイッターより)。
幕末に志士たちが集ったことで知られる、京都・清水にある明保野亭も2020年2月から休業しており寂しい限り。いずれも完全な閉館・閉店というわけではないようなので、復活を待ちたいところです。
幕末関連施設といえば、朝日友の会の提携施設だと、「霊山歴史館」、「角屋 もてなしの文化美術館」があります。霊山歴史館では現在「会津藩主・松平容保と新選組」が開催中。「角屋 もてなしの文化美術館」は2021/12/16~3/14までは休館期間なので、次の展示は3/15からです。直接運営に携わっていない者としてできることは限られていますが、歴史的資産の保存のためにも、展示施設に積極的に足を運ぶよう意識していきたいものです。
『会津藩主・松平容保と新選組』は5/15(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で一般が団体料金に割引になります(全員)。
2022.01.11
京都国立近代美術館 『上野リチ』
まず感じたのは、上野リチが手掛けたデザインには、不快に感じる要素が全くないということ。例えばこれが芸術であれば、作者の強い主張がときには観るものに嫌悪感を惹起することもあります。もちろんそれが悪いということではありません。不快なものを直視することも必要です。でも壁紙、テキスタイル、小物入れ、マッチ箱カバーなど、日常的に視界に入るもののデザインは、不快なものであってほしくない。上野リチのデザインは刺激的すぎず、かといって無味無臭なわけでもなく、やさしく細胞を活性化してくれるような心地よさがありました。
どれもこれも素敵なものばかりで、あまり絞り込めなかったのですが、今回のスペシャルお気に入りは以下の4点。
・Ⅰ-2-31リキュールグラス…シャープなデザインでありながら柔らかい色合いが繊細な造りのグラスにピッタリ
・Ⅱ-2-03そらまめ…色違いで3種展示されていましたが、薄藤色か浅紫のような淡い紫色のものが好みです
・Ⅱ-2-18クレムリン…堅牢で近寄り難いイメージですが、上野リチの手に掛かればポップで親しみやすいデザインに
・Ⅱ-2-23ボンボニエールのデザイン…アマビエに似ていて気になる
『上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』は1/16(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(3人まで)。
ポストカード、クリアファイル、一筆箋、マスキングテープ、トートバッグetc.グッズも色々ありました
2021.12.16
中之島香雪美術館 『中国の漆器』
今でも日用品として生活の中に馴染んでいる漆器ですが、改めて芸術品として鑑賞すると、奥深い表現や多彩な技術に驚かされます。本展は、Ⅰ.彫漆(ちょうしつ)、Ⅱ.螺鈿(らでん)、Ⅲ.無文漆器(むもんしっき)、Ⅳ.存星(ぞんせい)、Ⅴ.箔絵・嵌骨(はくえ・がんこつ)、Ⅵ.蒟醤・天川・独楽(きんま・あまかわ・こま)と、主に技法ごとの分類で構成されており、技術的な側面に着目しつつ鑑賞を進めることで、新鮮な見方ができました。
今回のお気に入り作品は、作品№41「三酔図螺鈿香合」(さんすいずらでんこうごう)と作品№46「黒漆天目台」(くろうるしてんもくだい)。「三酔図螺鈿香合」は、酒に酔ってゴキゲンな三人の人がじゃれ合っている様子がモチーフになっています。螺鈿のニュアンスと相まって活き活きと表現されており、なんだかお酒の匂いが漂ってきそうでした。「黒漆天目台」は、同名称の作品が№45と46に並んでいるのですが、№45は漆黒、№46は栗色で、この栗色がとても格調高く深みがあり、シンプルな造形を引き立てているように感じました。
『中国の漆器』は2022/2/23(水・祝)まで開催。朝日友の会会員証の提示で一般が団体料金に割引になります(2人まで)。
年内は12/26(日)まで、年始は1/8(土)からです
2021.12.09
「美術館めぐり」バスツアー 「和久傳ノ森で『安野光雅展』鑑賞とランチ」
京丹後の土地に合った樹木で森が再生されたそうです
和久傳特製ランチの前菜
この「美術館めぐり」バスツアーを始めた当初のコンセプトの一つとして、アクセスが悪くて個人ではなかなか行きづらい美術館にバスツアーで行っていただくというものがありました。今回の行先である和久傳ノ森はまさに、そのコンセプト通りの、個人では行きにくいところにあります。
和久傳ノ森の前に、まずは「丹後ちりめん歴史館」へ。日本一の絹織物生産地である丹後地方で1300年もの歴史をもつ丹後ちりめん。その繊細な肌触りの絹に触れました。特に模様の入ったジャガード織の白い絹地の美しさは格別です。また、繭から抽出されるセリシンというアミノ酸タンパク質が人間の肌に含まれる成分に極めて近く、美肌効果があるそうで、セリシンを使った化粧品や手袋なども販売されていました。
次はいよいよ和久傳ノ森。安野光雅館では、『安野光雅追悼展 イギリスの村』が開催中でした。どれもこれも優しいタッチで心癒される作品ばかりですが、特に気に入ったのは、『ヨークシャーの丘』と『ネス湖畔の館』。「ヨークシャー」といえば、まず思い浮かぶのが、エミリー・ブロンテ作『嵐が丘』。キャサリンとヒースクリフの激しい愛を象徴するような厳しい自然の荒野が広がっているイメージです。安野さんの作品では、豊かな緑が広がる穏やかな風景が描かれていますが、波打つ丘の隆起が『嵐が丘』の世界を連想させます。『ネス湖畔の館』は、草木の緑色と建築物の茶色が中心となる本展の作品の中にあって、ヒンヤリとした静謐な空気感を醸し出すネス湖の水が目を引きました。
最後は、道中で天橋立の絶景を鑑賞しながら、「元伊勢」と言われる歴史をもつ籠(この)神社へ。京都市内とは異なる、日本海側の京都の奥深い魅力に触れた一日でした。
2021.12.02
香雪美術館「庭園特別見学会」
長屋門形式の玄関棟
書院棟の下部と紅葉
新緑の5月にも企画していたものの、緊急事態宣言の発令によりやむなく中止しましたが、今度は紅葉真っ盛りの中、無事開催することができました。
庭園とはいっても、計算し尽された回遊式庭園とは異なり、可能な限り自然の地形が活かされたものです。起伏のある林の中を進みながら、重要文化財に指定されている「旧村山家住宅」を外から鑑賞していきます。ハーフ・ティンバー様式の洋館、屋根上部に村山家の家紋「鬼蔦」が象られた玄関棟、諫鼓鶏(かんこどり)の石像、藪内流の特徴を表す戸摺石(とずりいし)、でこぼことした立体的な造りの書院棟、どれも保存状態が良く、説明も興味深いものでした。
一見、鬱蒼とした茂みのようにも思えますが、よくよく見ると木は人工的になりすぎない程度に剪定されており、自然と人工物の調和が感じられます。鳥のさえずりも耳に優しく、たっぷりと癒しの時間を過ごせました。
2021.11.29
神戸ゆかりの美術館「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」
山は紅葉シーズンでにぎわっていますが、海に浮かぶ六甲アイランドへ足を運びました。目的は、神戸ゆかりの美術館で開催中の「ミロコマチコ」展。ミロコマチコさんは大阪府出身、絵本や本の装画などで人気の画家です。
会場入口にはカモシカやクマのオブジェがあり、中に入ると、いきものたちの気配が充満しています。最初の展示は、即興で描いたライブペインティング。大胆に絵の具が交差し、よく見ると布切れが貼り付いています。これは、創作の時間を共有した画材や自らの服を閉じ込めるためだとか。画家の熱すぎる想いが伝わってきます。そして、動物の顔を正面から描いた絵には、ひとの顔が重なって・・。これはミロコさん自身、まさに展覧会タイトルにある「かがみ(鏡)」なのでしょう。絵本の原画や本の装画、高級ブランドの商品広告、そして新宿伊勢丹や無印良品のクリスマス・キャンペーンポスターなど、多彩な展開に驚かされました。
2年前に奄美大島へ移住したミロコマチコさん。新作は「アサヒメイト」11月号、12月号でもご紹介した、亜熱帯の自然に影響を受けた作品の数々でした。それは森や海から感じる「何かの気配」。目に見えない感覚と向き合う、ミロコさんの次の展開がとても楽しみです。
会期は12月19日まで。朝日友の会会員証の提示で団体割引(4人まで)。
会場入口にあるオブジェ
中には想像を超えるミロコマチコワールドが・・
2021.08.18
京都市京セラ美術館 新館「THE ドラえもん展 KYOTO 2021」
またまたスタッフHです。京都市京セラ美術館の「フランソワ・ポンポン展」と同時開催の「THEドラえもん展」へ行ってきました。ドラえもんの原画やアニメではなく、現代美術家28組によるアート展で、2002年開催に続く第2弾です。私自身、ドラ愛は低めなのですが、気になる作家の作品を見たくて立ち寄りました。
会場に入ると、村上隆さんの鮮やかな大型作品に圧倒され、蜷川実花さんのドラえもんとデートの写真にほっこり。そして目当ての山口晃さん。細密画で有名ですが、ゆるいタッチの漫画やエッセーも人気です。今回は漫画「ノー・アイテム・デー」を出品。夕暮れの部屋で「ぼくいつか死ぬの?」と語りかけるのび太。ドラえもんの返事に切ない表情になる、その1コマに胸がジーン・・。生と死に関しては、ドラえもんのひみつ道具も役に立ちませんね。
前回、ジャイアンにリボンをとられたドラミちゃんを描いた奈良美智さんは、「依然としてジャイアンにリボンをとられているドラミちゃん」を。悔しそうで悲しそうな顔に涙が浮かんでいます。そして、奈良さんが色鉛筆で描いたスケッチ、ドラミちゃんの「ポンコツ飛行艇」がたまらなくかわいい。
時間を忘れて、絵画や写真、オブジェ、映像など現代アートを満喫しました。ドラ愛があればもちろん、なくても十分に楽しめる展覧会です。
展覧会は9月5日まで。朝日友の会会員証の提示で団体割引(3人まで)。
「依然としてジャイアンにリボンをとられているドラミちゃん」
館内あちこちにドラえもんが(これは作品でなく撮影用)
2021.08.13
京都市京セラ美術館「フランソワ・ポンポン展」
会場入口
小ぶりのシロクマは撮影OK
「アサヒメイト」のリニューアル作業に追われるスタッフHです。先日、京都市京セラ美術館で開催中の「フランソワ・ポンポン展」へ行ってきました。「ポンポン?人の名前?」とよく聞かれますが、19世紀末から20世紀にかけてフランスで活躍した彫刻家です。オルセー美術館にある大きなシロクマの像が有名で、雑誌やグッズなどで見たことがある人も多いと思います。
作品の魅力は、シンプルで洗練されたフォルム。作家の迷いのなさと信念を感じますが、それまで苦労も多かったようです。若い頃からロダンの工房で働き、人物像での研鑽を重ねます。しかし思うように世間から評価されず、動物彫刻家の道へ。サロンに出品した2.5mの石膏のシロクマが絶賛されたのは、67歳の時でした。ポンポンは当時珍しかったパリの動物園に足しげく通い、シロクマやヒョウの脚やしっぽ、そして歩く時の頭の傾きを何度も確認し、何年もかけて作品の細部を修正したそうです。
そこまで動きにこだわったポンポンですが、多くの作品に残した鳥たちはみんな羽を休めています。羽毛がなく、全体の骨格があるのみ。批評家の「毛や羽のない動物彫刻だ」という皮肉に対して、羽をむしられて駆け回る雄鶏のデッサンで返しました(カッコいい!)。実際に羽はなくても、丸みを帯びたフォルムからは、柔らかい羽毛や温もりを感じるから不思議です。
展覧会は9月5日まで。朝日友の会会員証の提示で団体割引(3人まで)。