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スタッフブログ

美術館・博物館

2022.08.26

神戸ゆかりの美術館「白洲次郎・白洲正子」

昭和の激動の時代を生きた白洲次郎と正子。今も多くのファンを持つ2人の展覧会が、神戸ゆかりの美術館で開催されています。会場はそれぞれの生い立ちに始まり、結婚前に交わした書簡、趣味や仕事、そして武相荘(自宅)での暮らしぶりまで、いくつかの章に分けて紹介されています。
私が興味をひかれたのは、正子と装丁家・青山二郎との手紙のやり取り。骨董好きの正子が師と仰いだ青山は辛口な評論で知られ、正子からの手紙にも「面白くない、簡潔に上手に書くように」と返事をしています。当時、青山や小林秀雄、大岡昇平らは夜な夜な集まって、骨董や美の本質について論じていました。銀座で工芸の店を開いていた正子も割り込んで参加するのですが、お酒と不規則な生活に何度も胃潰瘍になり、入院することもあったとか。夫の次郎は反対しなかったのか?と思いますが、互いを尊重し、領域には踏み込まなかったようです。好きなことには真っ直ぐな、似た者同士だからでしょうか。そういうわけで、会場には正子が集めた古伊万里の器をはじめ、高名な作家たちの作品がずらりと並んでいます。
ほかにも正子愛用の着物や西国巡礼の取材メモ、次郎の愛用品や戦後日本政府の代表としてGHQと交渉した際の書類など、貴重な品々が展示されています。2人が何に情熱を注ぎ、どう生きたのかをぜひ会場で体感してください。
「白洲次郎・白洲正子」展は9月25日(日)まで。朝日友の会会員証提示で4人まで団体料金に割引です。

2022.08.18

あべのハルカス美術館 『出版120周年 ピーターラビット™展』

作者であるビアトリクス・ポター™自身に非常に興味がわく展覧会でした。
キャラクターの商品化にあたって特許を取得したり、自らぬいぐるみを試作したりといった、キャラクターの再現性へのアーティスティックな拘り。絵本が他国語に翻訳された際には、「ピーターラビット」は、それぞれの地域で親しみやすい名前に変えて出版されたというエピソードからわかる高い柔軟性。塗り絵出版時には、低額でのバラ売りを提案するビジネスセンス。このような様々な面に触れられるのは、作品そのものだけでなく、その周辺部分から多角的に作品を紹介してくれる展覧会ならではの面白さです。
今回のお気に入りは、「ピーターラビットの追いかけっこゲーム」です。ピーターとマグレガーさんの追いかけっこをボードゲームにしたもので、ポター自身が発案し、ルールについての自筆メモも展示されていました。カラフルでかわいくて楽しそう!
会場内には、所々に絵本の場面を再現したフォトスポットが設置されていました。中でも木戸の下からマグレガーさんの畑に侵入しようとするピーターのおしりフリフリは必見です。
『出版120周年 ピーターラビット™展』は9/4(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で半額に割引になります(1人、同伴1人を団体料金に割引)。

子を案ずる親の姿はウサギもヒトも同じ

こらこら
お母さんにダメって言われたでしょ

ピーター、ラディッシュおいしい?

2022.08.09

兵庫県立美術館「関西の80年代」

「関西の80年代」を開催中の兵庫県立美術館へ行ってきました。連日の暑さに、屋上にいるマスコットの美かえる(ミカエル)もぐったりしています。入り口には「80年代は過去じゃない」と書かれたオブジェがありました。
さて、皆さんは80年代といえば何を思い出しますか?雇用機会均等法、バブル景気…。私は社会人になった頃で、広告の勉強をしていました。ネットもないアナログの時代で、クリエーターたちが熱く語り合い、枠にはまらない表現を模索していました。
展覧会では、第一線で活躍する作家たちの駆け出しの頃の作品が並んでいました。広い空間に絵画やオブジェ。明るい色彩や題材に80年代の雰囲気を感じます。その中でもひときわポップで、不思議ワールド全開だったのが、陶芸家・田嶋悦子さんの「Hip Island」。陶(=焼き物)でできた木の幹や植物に、小さなお尻のような花?が咲いています。田嶋さん曰く、「何物にも囚われず表現したい」という強い想いがあったとか。田嶋さんは現在、陶とガラスを組み合わせた美しい花のオブジェを制作されていますが、今も当時の想いを持ち続けていらっしゃるそうです。
80年代は過去ではありません。作家たちの原点であったり、通過点であったり…今日までつながっています。皆さんもネットで最近の作品を探して、見比べながら鑑賞してみてください。
「関西の80年代」は8月21日(日)まで。朝日友の会会員証提示で2人まで団体料金に割引です。

美術館のマスコット・美かえる

陶芸家・田嶋悦子さんの「Hip Island」

メイトでもご紹介した吉原英里さんの「M氏の部屋」

2022.07.12

中之島香雪美術館「陶技始末(とうぎしまつ)

中之島香雪美術館で開催中の「陶技始末」。河井寛次郎は、思想家の柳宗悦や濱田庄司らと民藝運動を行ったことで有名ですが、陶芸家としてのスタートは、中国古陶磁を手本とした作品でした。今回の展覧会では、その初期の作品と、民藝運動の頃の作品、そして辿り着いた陶彫による造形作品まで、大きく3つに分けて紹介されています。
ちなみに「陶技始末」とは、河井が民藝運動の機関誌「工藝」に寄稿したコラムのタイトル。無名の職人が作る日用品に宿る美を求めて日本各地へ出かけ、そこで目にした技術を詳細に記しています。スケッチや文面からは、研究熱心で几帳面な性格が伺えます。自身も大きな影響を受け、丹波風や唐津風など様々な作品を生み出しました。
日用の器は、鑑賞用でなく使われることが目的。展示されている大皿や鉢を眺めながら、どんな料理と相性がいいのか思いを巡らすのも楽しいですね。
河井が柳や濱田らと熱く語り合った京都(東山)の自宅兼仕事場は、記念館として一般公開されています。ぜひ訪ねてみてください。
「陶技始末」は8月21日(日)まで。朝日友の会会員証提示で一般が2人まで団体料金に割引。「河井寛次郎記念館」は朝日友の会会員証提示で1人100円引きです。

2022.06.04

庵野秀明展に行ってきました

会場を入ってすぐ、新聞一面広告にもなった庵野監督の仮面ライダーパネルがお出迎え。
その横には、安野モヨコさんの監督画もあります。
これが似ていてカワイイです。

監督の制作物として最初にあったのは、中学・高校時代の油彩の静物画。
監督もここからスタートしたのかと、感慨深く見ました。
さらに進むと「風の谷のナウシカ」に関わっている頃の宮崎駿監督の「らくがき、メモ等」が展示してあります。
作画のアドバイスもあるのですが、「はやくカットあげろ」「寝すぎ」などのお小言もあり
庵野監督の怒られていた時代が覗けて嬉しくなりました。
私が一番心打たれたのは、監督の頭の中が垣間見える膨大な直筆資料など。
絵コンテをはじめ、「シン・ゴジラ」では役名の横に人物像が書いてあったり、
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では、大きな模型まで作ったり。
一から作り出し形にするまでに、大きなエネルギーが注がれているのを感じました。

会場は動画を除き、多くが写真撮影OK。
新聞広告にもよく出ているエヴァンゲリオンを撮ろうとしたら
あまりにも大きく、何度か後退し構え直しました。
最後は、広告でお馴染みのウルトラマン・ゴジラ・仮面ライダーが3人そろってお見送り。
壁に小さく、監督自らの直筆メッセージも飾ってありました。
大きな応援を貰った気分で、会場を後にしました。

『庵野秀明展』は6/19(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で一般を1人のみ半額になります。

2022.05.20

奈良県立美術館 『寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング展』

「きれいなお衣装をいっぱい見る」「婚礼儀式のもつ社会的意味合い」「人の一生と婚姻習俗」、色々なテーマを見て取れる展覧会でしたが、中でも興味深かったのが「吉祥文様の変遷」です。蓬莱(松竹梅鶴亀)、桐、橘、牡丹、菊、王朝風、鳳凰、etc.…新郎新婦の幸福を願う象徴として、時代とともに多様化していきます。
白、赤、黒の婚礼三原色は、それぞれ昼・夕方・夜を表していたそうです。時代が下ると中間色の青も加わり、色彩を表す日本語の語彙との関連性が読み取れます。
着物以外でも、豪華な蒔絵の武家の婚礼調度や長野の豪商である田中本家婚礼料理の再現も見どころの一つです。
どれもこれも綺麗で目の保養になりましたが、それでも今回は強硬に1点、お気に入りを絞ります!作品番号52「縹繻子地薬玉模様打掛」です。「縹(はなだ)色」の深みのある青地に、繊細な模様で形作るくす玉の丸いフォルムと房の流麗なラインが目を引きました。
『寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング展-日本の婚礼衣装-』は6/19(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で200円引きになります(5人まで)。

多くの作品が前後期で展示替えされます

現代の代表的婚礼衣装、白無垢

2022.05.17

龍谷大学 龍谷ミュージアム 『ブッダのお弟子さん 教えをつなぐ物語』

龍谷大学 龍谷ミュージアムは京都の中心部にあります

ベゼクリク石窟15号窟 回廊壁画の復元

あまり仏教に通暁していない者には敷居が高いかも、という先入観を壊してくれる面白い展覧会でした。鬼子母神や提婆達多(ダイバダッタ)のエピソードが描かれた作品はドラマティックで、十大弟子の個性に着目した豆知識解説は、お弟子さんたちを身近に感じさせてくれます。
一押し作品はこちらの5点。
・作品番号11 鬼子母掲鉢図…樹木も昆虫も魚も擬人化されていて、魚から足が生えています。
・作品番号15 釈迦御一代記図会…葛飾北斎の手になる挿絵は迫力満点。
・作品番号33 木造十大弟子立像…写実的な表情をもつ立像は今にも動き出しそうです。
・作品番号45 笠置曼荼羅…細やかな筆致が美麗。
・作品番号69 五百羅漢図…僧院生活の日常が描かれています。キチンと揃えられた履物に注目!
近年色々なものを擬人化したゲームやアニメ、漫画をよく目にしますが、擬人化に歴史あり。今に始まったことではないのですね。
『ブッダのお弟子さん 教えをつなぐ物語』は6/19(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(4人まで)。

2022.05.12

中之島香雪美術館 『来迎~たいせつな人との別れのために』

平安時代に浄土信仰が広まった背景には、苦しい現世への諦念があったと考えられますが、確かに阿弥陀如来がたくさんの菩薩を引き連れて、お迎えに来てくれる様は神々しく、この世への惜別の思いを薄め、同時に極楽浄土への期待感を高めてくれます。
本展で特にお薦めしたいのは、まずは『二河白道図(にがびゃくどうず)』です。「二河白道」とは、極楽往生を願う心の比喩で、水の河は欲望や執着を、火の河は憎悪や憤怒を表しています。この二つの河の間に細い道(白道)があり、二河に表される煩悩を捨てて、阿弥陀や釈迦に励まされながら極楽に至るというものです。わかりやすい図解のような構成になっており、作品番号24から27まで並んでいる4点の細部を比較しながら鑑賞することができます。
次に作品番号32『阿弥陀如来立像』。この阿弥陀様は、全長1mほどですが、ガラスケースの中にお立ちになられているので、ケースの高さも含めると2mくらいになるでしょうか。この高さが絶妙で、正面に立って見上げるとバッチリ目が合います!阿弥陀様とジーッと見つめ合ってしまいました。こちらはマスク越しですがニコッと笑ってみると、心なしか阿弥陀様もニッと笑ってくれたような…大丈夫です。気は確かです。
そしてもう1点。作品番号42『戯画図巻』です。こちらは単純に題材が面白い!日蓮と法然が腕相撲をしています。勝負の行方やいかに?!
『来迎~たいせつな人との別れのために』は5/22(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(2人まで)。

チラシと作品リスト

2022.05.10

京都市京セラ美術館 「ポンペイ展」

京都市京セラ美術館で開催中の「ポンペイ展」へ行きました。あいにくの雨ですが、休日とあってにぎわっています。会場に入ると、大型スクリーンに街が火砕流に飲み込まれる様子(イメージ)が映し出され、場内では、発掘された遺物とともに施設や邸宅の一部が再現され、当時の人々の暮らしが体験できるようになっていました。
フレスコ画や精緻なモザイク画は、永年灰に覆われていたためか、損傷が少なく良い状態を保っています。アサヒメイトでもご紹介したブロンズ像「踊るファウヌス」は、邸宅の玄関広間で主や客人の目を楽しませていたようです。伸ばした手の指や背中の筋肉が躍動感にあふれ、それゆえ人々を襲った悲劇と世の儚さに胸が締めつけられました。
会場は撮影OKで、あちこちからスマホのシャッター音が響きます。とりわけ注目を集めていたのが、炭化した大きなパン。近くには食卓に置かれたパンの静物画があり、私も思わず見比べてしまいました。
「ポンペイ展」は何度か来日しており(2001年には神戸)、今回はその「決定版」とのこと。現地では発掘作業が続いており、これっきりではないと思いますが、ぜひ会場へ足を運び、古の人々の暮らしに思いを馳せてください。
会期は7月3日まで。朝日友の会会員証で1人200円引き、同伴3人まで100円引きです。

ファウヌスは、古代ローマの森の神

丸焦げになってしまった、ふかふかのパン(右奥)。
いちじく(左奥)やブドウ(手前)も。

2022.04.28

神戸市立博物館 『大英博物館 ミイラ展~古代エジプト6つの物語~』

一部、撮影可のエリアがあります。

平日限定のハガキをいただきました。

神戸市立博物館で開催されている『ミイラ展』に行ってきました。会期が長いのでアサヒメイトでは1月号から5月号まで5号連続でご案内しており、またもや「赤アメンイリイレト青アメンイリイレト黄アメンイリイレト」を練習する時間はたっぷりありました(エジプトといえば早口言葉!)。
かつては生きた人であったミイラ。おそらく多くの人が、生々しい生死とは切り離し、鑑賞の対象物として客体化することで、平然と対峙できているのではないでしょうか。でも本展では、最新の研究から明らかになったミイラの個の属性をあわせて紹介することで、彼らもかつては同じ地球上で生活していた人であったという事実に我々を立ち戻らせてくれます。食品やアクセサリー、楽器、子どものおもちゃなど、生活に密着した展示品は、彼らが生きた時代の日常はどのようなものだったのかという想像を助けてくれました。
今回のお気に入りは、作品番号174「メリセクメトという子供の葬祭用ステラ」です。状態の良いステラがたくさん展示されていましたが、鮮やかな彩色が特に印象に残りました。また4人目のミイラ、タケネメトのコーナーは、タケネメトのミイラ、内棺、中棺、外棺が同じスペースに連続して展示されており、興味深いものでした。外棺は大きくて迫力があるのですが、ミイラ本体は外棺よりもずっと小さく、布でグルグル巻かれエコノミー症候群になりそうな状態で、ストレッチしたいだろうなぁなどと考えてしまいました。
2時間以上かけましたが、それでも時間が足りず、最後は閉館時間が近づき駆け足になってしまうくらい充実した鑑賞となりました。
『大英博物館 ミイラ展~古代エジプト6つの物語~』は5/8(日)まで開催。「事前予約優先制」です。GW期間中は混むかもしれませんので、事前予約してから行かれることをお勧めします。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(5人まで)。

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