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2021.01.28

京都国立近代美術館 『分離派建築会100年 建築は芸術か?』

京都国立近代美術館出入口

展覧会オリジナルグッズ

「建築は芸術である」と宣言した分離派建築会。この言葉だけを表層的に捉えると、合理性に重きを置いていないように感じられますが、本展を鑑賞すると、決してそのような意味ではないことがよくわかります。
分離派建築会の面々が手掛けた卒業設計の題材は、「納骨堂」(石本喜久治)、「屠場」(森田慶一)など、「生」と「死」に向き合う生々しい現場。「職工長屋」(矢田茂)もまた、実利最優先で造られるべき建築物だと言えます。
また、結成から3年後に発生した関東大震災を経て、巨大化する都市計画の中で彼らがいかにして時代の要請に応えてきたのか、展示順を追って観ていくことで、分離派建築会が目指したものの輪郭が徐々に迫ってきます。
最後に、『建築史』(市ヶ谷出版社)より、近代建築の礎を築いたオットー・ワーグナーについての記述を引用して紹介します。
「ウイーンのオット=ワグナーは、1895年に『現代建築』という書物を著わし、その中で新しい建築を生み出す設計の原理として、次の4項目をあげた。
1)    目的を正確にとらえて、これを完全に満足させる。
2)    材料の適当な選択。
3)    簡単にして経済的な構造。
4)    以上を考慮したうえで、きわめて自然に成立する形態。」
~略~
「ワグナーの主張は、建築の合理性を強調するあまり芸術的追及を否定しているかのような印象を与えるが、その真意は、建築が踏み外してはならない基本原則を確認し、その上に立った芸術的追及を主張したものであった。」
『分離派建築会100年 建築は芸術か?』は3/7(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(3人まで)。
引用元:藤岡通夫・渡辺保忠・桐敷真次郎・平井聖『建築史』(市ヶ谷出版社、1967年発行)

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