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2024.09.20

神戸市立博物館「デ・キリコ 展」

神戸市立博物館で開催中の「デ・キリコ展」。デ・キリコといえば、ダリやマグリット、シュルレアリスムの画家に影響を与えた20世紀美術の巨匠です。ただ、その作品は「不可解」「奇妙」「謎」などの言葉で表され、他の画家と一線を画しています。今回の展覧会はデ・キリコの画家人生をたどるもので、私も謎が解けるのか期待しながら出かけました。
会場に入ってすぐ、デ・キリコの代名詞とも言える「バラ色のイタリア広場」が目に入ります。ある秋の日の昼下がり、イタリア・フィレンツェの広場にいたデ・キリコ は、見慣れたはずの風景が初めて見るような感覚に陥ったそうです。これが「形而上(けいじじょう)絵画」制作のきっかけでした。大胆かつ遠近感のない構図、人影はないけれど何かの視線を感じて心が落ち着かない…。そこには非日常の世界が広がっています。
ニーチェの哲学を愛し、戦争を経験し、何度も住まいを変えたデ・キリコ。「イタリア広場」「マヌカン」シリーズの形而上絵画で世間から高い評価を得ますが、その後、ベラスケスやティツァーノの作品に感銘を受け、古典的な絵画を描くようになります(ダリや画家仲間から批判を受けることに)。晩年にはまた形而上絵画に戻りますが、作風は一変し、太陽や月などをモチーフとした明るいポップ調のものになりました。部屋の中に出現した海でボートを漕ぐギリシャ神話の英雄はデ・キリコ自身? それとも?
悩む私たちを眺めながら、デ・キリコはしてやったりとほくそ笑んでいるのかもしれません。謎を解く鍵を探すよりも、それぞれの解釈でデ・キリコの世界を楽しむのが一番だと感じました。ぜひ、会員の皆さんも足を運んでみてください。
展覧会は12月8日(日)まで。朝日友の会会員証提示で5人まで団体料金割引になります。

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