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2022.08.30
神戸市立小磯記念美術館 『秘蔵の小磯良平-武田薬品コレクションから』
緑豊かな六甲アイランド公園内にあります
美術館の中庭に移築された自宅兼アトリエ
年も近く、父の代から縁のあった小磯良平と六代目武田長兵衛。戦争で自宅兼アトリエを焼失した小磯に、武田が住吉山手の自宅近くの土地を紹介したことでご近所さんとなり、その後、生涯にわたって親しい交流が続いたそうです。食事や旅行をともにしたり、小磯作品の題材となる舞妓の髪型を様々な角度から写真に収めて制作に協力したり。それほどに深い理解者であった武田長兵衛の、まさに「秘蔵」といえるコレクションでした。
1~3部に分かれており、第1部は油彩の肖像画を中心とした展示です。ここでは作品番号42「婦人像」が印象に残りました。緑色のドレスを着たご婦人なのですが、そのドレスの布地、サテンの質感がありありと伝わってきます。
2部以降では、数々の薬用植物画が展示されています。中でも今回のお気に入りは、作品番号128「ワタ」です。ほとんどの作品が繊細な線描で表現される中、真っ白な綿の果実がフワフワと可愛らしく、42「婦人像」同様にその手触りを視覚から感じ取ることができます。もう1点は作品番号160「シャクヤク」。ここで展示されている植物画は『武田薬報』の表紙画として描かれたものですから、花、実、葉、茎だけでなく、地中に埋まっている「根」を強調して描かれているものが多くありました。特にそれが印象に残ったのが「シャクヤク」です。芍薬というと艶やかで優美な花の代表格ですが、薬用植物として描かれる芍薬は、ただ美しいだけではありません!と主張しているようでした。
『秘蔵の小磯良平-武田薬品コレクションから』は9/25(日)まで開催。朝日友の会会員証の提示で200円引きになります(5人まで)。