スタッフブログ
コンサート
2022.07.29
7/24(日)小林研一郎の「夏休み・名曲招待席」
3階席までびっしりと埋まったザ・シンフォニーホールの客席は、コロナ禍以降、久しぶりに見た光景でした。そのたくさんのお客様の期待に応えるパワフルな公演は、お馴染みシベリウスの交響詩「フィンランディア」から始まります。現在世界で起こっていることを踏まえたマエストロの解説。10分弱の旋律の中に、激しい攻撃を受け、打ちひしがれ、それでもまた力強く立ち上がる民衆の姿が描かれます。全く見事としか言いようのない構成が、深い陰影をもつ演奏から鮮やかに浮かび上がり、感動を覚えました。
ソリストは遠藤真理さん。藝大時代には、マエストロの授業を受けられたこともあるそうです。チェロ特有の落ち着いた音色が深く心地よくザ・シンフォニーホールいっぱいに響きました。最後は、ラヴェルの「ボレロ」。いつ聴いても、何度聴いても、どこで聴いても、血がたぎります。
お客様の盛大な拍手からは、マエストロとオケへの敬意と親しみと名残惜しい気持ちが、渾然一体となって伝わってくるようでした。
公演チラシとプログラム
2022.06.17
6/12(日)前橋汀子ヴァイオリン名曲選
公演当日は鮮やかなピンクのドレスでした
2020年、2021年と2年連続で中止になってしまった「前橋汀子ヴァイオリン名曲選」。演奏活動60周年となる記念イヤーに漸く開催できました。
東西冷戦のただ中に旧ソ連で学ばれた前橋さんだからこそ、国境を越える音楽への深い思いを込められた演奏は、本当に心打たれるものでした。落ち着いた声音で優しくお話される前橋さんご自身のごとく、グァルネリウスから紡ぎだされる低音がしっとりと響き、印象に残りました。
アンコールはドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』とフランクの『ヴァイオリンソナタ イ長調』第3~4楽章。本編プログラムの延長戦のように、充実したアンコールでした。熱の入ったたくさんのスタンディング・オベーションに前橋さんの演奏を待ち望んでいたお客様の気持ちを実感しました。
ピアノはヴァハン・マルディロシアンさん。ピアノだけでなく、指揮も作曲もされる才人です。1人でリハーサルされているときは、足を前にポンと投げ出して、リラックスした様子でした。まるで自宅で気まぐれにピアノを弾いているところを覗き見させてもらっているようなお得な気分になりました。
2022.05.06
4/29(金)関西フィル 第327回定期演奏会
4月29日、関西フィルハーモニー管弦楽団第327回定期演奏会に行きました。
アサヒメイト4月号でご紹介した公演です。
「純情なる音世界~Pure Heart Orchestra」と銘打たれた新シーズンの開幕を飾る公演で、
指揮者・下野竜也さんは関フィル定期公演初登場。
オール・ドヴォルザークの慈しみに満ちた世界を堪能するラインナップです。
前半は序曲三部作「自然と人生と愛」作品91~93。
母国チェコでも三曲まとめて演奏されることは少ないという貴重な機会でした。
後半のメインは懐かしい薫りが満載でどこか心が安らぐ明朗な「交響曲第6番」。
初めて聴くのに懐かしい、心温まるドヴォルザークらしいナンバー。
下野さんの指揮は情熱的で、演奏者と刺激し合いつつ熱量が高まり、
観客の気持ちも高揚する、生の演奏ならではの一体感・醍醐味を存分に味わえる公演でした。
公演チラシとプログラムとチケット
2022.04.04
3/27(日)おいしいクラシック2022
毎年3月下旬の公演は、ABCラジオのパーソナリティの方に司会をしていただくシリーズです。昨年までの道上洋三さんに代わって今年は、ABCアナウンサー浦川泰幸さんの司会です。「おいしいクラシック」というタイトル通り、コース料理になぞらえて、音の絶品料理が次々と舞台上に現れます。「カルメン」(ビゼー)、「花のワルツ」(チャイコフスキー)、「ハンガリー舞曲 第5番」(ブラームス)、「フィガロの結婚」(モーツァルト)、「運命」(ベートーベン)、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ワーグナー)、さながら各球団の主力打者がズラリと並ぶオールスター戦のようです。作曲家の生没年を毎回「江戸後期」などと、日本の時代に置き換えて説明してくれる浦川さん。そうか、ブラームスは土方歳三の2コ上なんだ…
後半は、松岡莉子さんのケルティック・ハープからスタート。ずっと笑みを湛えている松岡さんご自身にも、ケルティック・ハープの柔らかな音色にも癒されました。松岡さんのスペシャルメニューの後は、「『四季』より春」(ヴィヴァルディ)、「春の声」(J.シュトラウス2世)と、この季節にピッタリの曲が続きます。食後の余韻は「プリンク・プランク・プルンク」(アンダーソン)。浦川さんは、「ハムスター行進曲」と例えていましたが、まさにハムスターがクルクルと回し車で遊んでいるような軽快な曲がピツィカート奏法で紡がれていきます。コントラバス陣の「魅せる」演出にも客席は大いに沸きました。オケの皆さんもノリノリで、親しみを覚えます。最後は「ラデツキー行進曲」(J.シュトラウス1世)。みんなで楽しく手拍子をして、最初から最後までずずずいーっとおいしくいただきました。ごちそうさまでした!
浦川さんのスパイスの効いたトークは、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」(月~木曜15時~)でどうぞ。
公演チラシとプログラム
2022.03.24
3/21(月・祝)伊藤晴 ソプラノ・リサイタル「ベスト・オブ・アリア」
年末のジルベスターコンサートで素晴らしい歌声を披露してくださった伊藤晴さんのリサイタルです。第1部はサティ、ビゼー、グノーといったフランスの作曲家の曲で、第2部はロッシーニ、プッチーニ、ヴェルディといったイタリアの歌曲を中心にまとめられていました。ジルベスターのときにも感じましたが、伊藤さんの歌声は、まるでほんの1メートル先で歌っているかのような近さを感じます。点や線ではなく面で迫ってくる感覚とでも言うのでしょうか。アンコールはプッチーニの「ラ・ボエーム」より『私が街を歩くと』、小林秀雄「すてきな春に」の2曲。この日は雨こそ降っていなかったものの、空は厚い雲に覆われていましたが、伊藤さんのお名前の通り、雲間からさっと光が差して晴れ渡っていくようなリサイタルでした。
公演チラシとプログラム
2022.02.09
2/5(土)千住真理子 スウィート・バレンタイン トーク&リサイタル
「スウィート・バレンタイン」のタイトルに相応しく、あらゆる角度から愛や恋を表現してくれたコンサートでした。歌劇「フィガロの結婚」より”恋とはどんなものかしら” (モーツァルト)では浮き立つような恋心を、『夜想曲第20番 遺作』(ショパン)では悲しく切ない別れを、『愛のあいさつ』(エルガー)や『愛の夢 第3番』(リスト)では優しい気持ちに満ちた穏やかな愛を、それぞれ感じながら鑑賞できました。トークで弱音器(ミュート)についてのお話があったので、『ツィゴイネルワイゼン』では弱音器を外すタイミングを意識して観察することができ、興味深かったです。
アンコールは『愛の悲しみ』(クライスラー)と『アメイジング・グレイス』。しっとりとした雰囲気で終わった後は、数分前まで舞台で優雅に演奏していた人がもうタクシーに乗っているという、千住真理子名物ともいえる早業を見ることもできました。
公演チラシとプログラム
2022.01.28
『ヴァイオリニストの第五楽章』前橋汀子
幼い頃からの前橋さんの写真も見どころです
毎年6月の恒例となっている前橋汀子さんの「ヴァイオリン名曲選」ですが、一昨年と昨年は残念ながら中止となってしまいました。今年は演奏活動60周年記念!なんとしても今年こそは無事開催できることを願っています。
さて、その前橋さんのコンサートを更に楽しむために、お薦めしたいのが、2020年11月に刊行された『ヴァイオリニストの第五楽章』(日本経済新聞出版)。前橋さんの音楽との歩み、ヴァイオリンの名曲にまつわる思い出、ロシア文学者の亀山郁夫さんとの対談という3本立てで構成されたエッセイ集です。
小野アンナ、齋藤秀雄、ミハイル・ワイマン、ロバート・マン、ヨーゼフ・シゲティ等々。名だたる名伯楽の元で、謙虚な姿勢でそれでいてどこまでも貪欲に学ぼうとする前橋さんの姿には心打たれます。
レニングラード音楽院で教わったという、小指を起点にする左手の指の押え方。この奏法を体得するまでに十年以上を要したものの、それを自分のものにしたことで、余計な力の入らない、身体に負担のない弾き方ができるようになり、長く現役で活動できているという話は印象に残りました。
また、前橋さんが留学した当時のソ連の時代背景、スターリン後の雪解け時代が、その音楽性の醸成に大きな影響があったこと、社会主義下のソ連では一切差別も偏見も受けなかったこと、様々なめぐり合わせが前橋さんの音色を形成していることがわかります。
「ヴァイオリン名曲選」では、毎年珠玉の小品がプログラムに組み込まれますが、前橋さんの小品への思いが本書で述べられています。「小品とは余計なものをそぎ落としていった後に残る本質であり、そこに作曲家の人間性が反映されている。だから人の心を動かすのだ。」(p.111)
引用元:前橋汀子『ヴァイオリニストの第五楽章』(日本経済新聞出版、2020年発行)
2022.01.13
12/31(金)ジルベスターコンサート2021
ホワイエはジルベルターらしい雰囲気
オールスターが集まったようなプログラム
さっむーーーい日でしたが、行って良かった!と心から思えるコンサートでした。
文句なしにゴージャスなキャストとプログラムで、夢のようなひとときを味わえました。
名曲揃いのオペラナンバーを歌ってくださったのは、伊藤晴さん(ソプラノ)、宮里直樹さん(テノール)、大山大輔さん(バリトン)。発声の最初の一瞬から感じられる伊藤さんの声の厚み、ホールを突き破りそうな宮里さんの声量、細やかな表情や仕草に表れる大山さんの演技力。『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲やサン=サーンスの交響曲第3番では、シンフォニーホールのパイプオルガンを知り尽くした冨田さんのオルガンが活きていました。特にサン=サーンスは、この日は抜粋で第2楽章の演奏でしたが、フルでまた聴きたい!
途中では、伊藤晴さんソプラノ・リサイタル「ベスト・オブ・アリア」(3月21日14時開演、ザ・シンフォニーホール)のチケットが当たる抽選会も。この「ベスト・オブ・アリア」はアサヒメイト2月号の「アスクプレイガイド情報」でご案内します。おススメです!
アンコールは、シュトラウスⅡ世:喜歌劇「こうもり」より『シャンパンの歌』とシュトラウスⅠ世:「ラデツキー行進曲」。最後まで華やかな、ジルベスターコンサートに相応しい締めくくりでした。
トークでは、交通機関の終夜運転があるかどうかわからないから17時開演にしたという話がありましたが、もしカウントダウンする時間帯でのコンサートなら私は行けなかったので、17時開演の判断に感謝です。
2021.11.24
11/20(土)横山幸雄 ドラマティック・コンチェルト
クラシックのトライアスロンを観ているような凄い公演でした。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と第3番。そしてその難曲の間に挟まれているのが、箸休めではとても収まらない「パガニーニの主題による狂詩曲」というオール・ラフマニノフのプログラム。
ラフマニノフは大柄で身長が2メートルくらいあったと言われています。当然指も長く、片手で1オクターブ半まで押さえることができたとか。そんな手の持ち主が作った曲に挑む横山さんには「尊敬」を超えて「崇敬」という言葉を使いたい。
2番はCDでは100回くらい聴いていますが、生演奏だと視覚情報が入る分、どの楽器の出番なのかがわかりやすいので、CDとは違った楽しみ方ができました。
アーティストにとっては大変でしょうが、こういう「無理難題シリーズ」のような公演にもっと行ってみたいと思いました。
公演チラシとプログラム
2021.11.19
10/27(水) まるフェス中之島プレミアムコンサート
左から福田淳さん、國府利支恵さん、大場昂平さん
きれいなコスモスを無料プレゼント!
毎年恒例になっている「まるフェス」。今年もSion(オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)トリオダンシュ(木管三重奏)の皆さんの演奏を堪能しました。出演は、オーボエ:福田淳(ふくだきよし)さん、クラリネット:大場昂平(おおばこうへい)さん、ファゴット:國府利支恵(こうとしえ)さんのお三方です。
ヘンデルの『ハレルヤ』から始まり、モーツァルト『ディヴェルティメント第2番』、『となりのトトロ・メドレー』と誰もが楽しめるプログラムが続きます。興味深かったのは、次の『Mountain Drama Medley』。津村芳伯さん編曲で「山」にまつわる曲が紡がれていきます。曲の終りには、一山越えたような爽快感が残りました。國府さんを中心に進められたトークも、小規模のコンサートらしい心温まるもので、会場は家族的な雰囲気に包まれました。お帰りの際には、コロナ禍による花の需要の低迷を受けて「ロスフラワー」の削減を目指し、受付を飾ったコスモスを無料プレゼント。皆さま大満足の笑顔で帰路に着かれました。