朝日友の会(アサヒメイト)は株式会社朝日販売サービスセンターが運営しています。

スタッフブログ

2024.02.09

国立国際美術館 特別展『古代メキシコ』

球技をする人の土偶

トゥーラのアトランティス像

古代メキシコ展もエジプト展と同じく、「テオティワカン」、「テノチティトラン」、「テスカトリポカ神」など、覚えにくい名称のオンパレード。会期は5月まであるので、その間「赤テノチティトラン青テノチティトラン黄テノチティトラン」と練習しようと思います!
何の益もない話はさておき、厳しい環境の中で育まれた文明は、超自然の存在への畏怖が強く伝わる神秘的な世界観を湛えていました。中でも興味深かったのは、球技に関する展示です。球技をする人の土偶(№10)や「ユーゴ」という球技用防具(№11)、ゴムのボール(№12)、王が球技をする様子が描かれた外交関係を象徴する石彫(№87)など。ピラミッドや神殿と同様に都市の中心部に球技場が建設されていたことからも、その重要性が伺えます。メソアメリカ世界の球技について、どこかで読んだことがあったなと思い、帰宅して埃をかぶっていた本を探し出しました。公開講座の書籍化で平易で読みやすいので、長くなりますがそのままここに引用させていただきます。
「ボールを手で投げるのではなくて、お尻とか肩でボールを飛ばす。中米は天然ゴムの産地なので、ボールは天然ゴムでつくられている。それを後ろを向いてお尻で飛ばす。しかし、それはかなり痛いらしくて、鹿の皮でつくった褌状のものをはいて、ボールがぶつかっても痛くないようにしている。」~中略~「このように尻でボールをあてて飛ばして、あの環を通すのであるから、われわれにはちょっと想像もつかないような大変な技術である。つまり後ろを向いて尻でボールを飛ばして、しかも高いところにある小さな環の間を通すのである。一体どれくらい練習すればできるようになるのか不思議だが、いずれにしてもそういうことが行われていた。」手ではなく腰を使うバスケットボールのようなイメージでしょうか。また、球技の持つ意味については、「球戯はマヤにおいては、神話的な背景をもっていたのではないかといわれている。というのはマヤの一派であるキチェ族というインディオに伝えられていた『ポポル・ヴフ』という叙事詩に書かれた神話によると、この世の初めにおいて二人の男の兄弟がいた。これはおそらく太陽と月をあらわしていると思われるが、これが暗黒をあらわすいろいろな神々とボールを使って競技を行い、それを負かしたという。マヤにおいて行われた球技は、いわば神話に語られたこの世の初めの、最初のボールの競技を儀礼として繰り返して行っているのではないか、神話で語られているこの世の初めにおけるボールを使っての競技を手本として繰り返し行っているのではないか、と解釈されている。」単なる娯楽ではなく儀礼的な意味をもっていたということですね。
特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』は5/6(月・振休)まで開催。朝日友の会会員証の提示で団体料金に割引になります(3人まで)。
引用元:「東京大学公開講座44 スポーツ」(東京大学出版会、1986年発行)より、大林太良『スポーツと儀礼』

To top